• ポーター賞とは
  • 受賞企業・事業部レポート
  • 授業式・セミナー
  • 募集対象
  • 審査方法
  • 応募方法

受賞企業・事業部レポート

株式会社セブン-イレブン・ジャパン

2003年度 第03回ポーター賞受賞 コンビニエンスストア・スーパーマーケット
地域、季節、時間などによって頻繁に変わる「朝起きてから夜寝るまでにちょっと必要な」ものを「いつでも高い品質で」効率的に提供できる仕組みを徹底して追求

企業概要

セブン-イレブン・ジャパンは1973年創業。店あたり日販が業界で最も高く、平均して二日に一度の頻度で一日約一千万人が来店する。

ユニークな価値提供

 同社は、「ちょっと必要なもの」(※1)を、24時間365日営業の10,000店の店舗を通じて、それぞれの店の地域の顧客に提供している。よく、「コンビニが冷蔵庫代わり」などと言われるが、すぐに欲しいものが、すぐそこにある店でいつでも手に入るという意味で、セブン-イレブンの店舗は、「利便性(コンビニエンス)」を提供している。その品揃えがユニークで的を得ていることは、店あたり日販の高さに表れている。セブン-イレブンの店あたり平均日販は65万円ほどで、同社を除く業界上位5社の平均を15万円以上、上回っている。

(※1)セブン-イレブン・ジャパンでは、セブン-イレブン店舗を「朝起きてから寝るまでにちょっと必要な商品やサービスを、いつでも高い品質で提供できる店」と定義している。

独自のバリューチェーン

発注・品揃え・在庫管理
 約110平米の店舗におく品揃えは、顧客のニーズにマッチすることを追求し、催事、季節や天候の動き、嗜好の変化に対応して、陳列場所まで含めて迅速に変更される。その結果、年間では約7割の商品が入れ替わっている。
 これが可能になっているのは、第一には、店舗による主体的な発注である。そのために、一店あたり20人いるパート、アルバイトも発注や売り場作りを分担する。第二には、売れ筋商品と死筋商品の峻別の精度が高いことによる。同社は店ごとに商品一品一品のリアルタイムの在庫を把握しているので、全く動かない商品は何か、同じ売り切れでも2時間で売り切れたか、8時間で売り切れたかが判別できる。第三には、仮説に基づいた発注である。店のパート、アルバイトを含めた発注担当者は、お客様に積極的に声をかけて、近隣で行われる工事の期間や部活動の試合など、地域の売れ筋が変化する要因を事前に把握するよう促されている。また、店舗情報システムによって天気予報や大きな地域情報、POS情報、商品情報も図表を使ったわかりやすい形で提供される。これらの情報を基に、発注担当者は「どのようなお客様がどのような時にどの商品を購入するか」の仮説を立てて発注し、販売データ等からその仮説を検証し、次の発注へ活かすサイクルを常に繰り返すよう努めている。第二にあげた在庫情報に基づく管理は、既に起きた変化への対応であり、第三にあげた仮説に基づく発注は変化を先読みしようとする試みである。
 これらを徹底して追求することによって、「ちょっと必要なもの」がいつでも店にある状態を作ろうとしている。その結果、デフレ下においても値下げをせずにチェーン売上高が、年間約5%で成長を続けている。同時に、非常に低い在庫水準を維持している。2002年度の在庫回転率は41.9回であり、他の小売業態を大幅に上回る(イトーヨーカドーで12.2回、米大手ディスカウントストア7.3回)。

商品提案
 加盟店の発注は、本部からの推奨商品から行なわれるが、推奨される商品には次々と新しい商品が加えられる。本部は毎週80アイテムの商品を新しく推奨し、合計で年間4,000アイテムが推奨される。そのうち半分が以下に述べるチームマーチャンダイジングによるオリジナル商品である。

商品開発
 顧客が潜在的に欲しいものを提供するために、同社ではメーカーとチームマーチャンダイジングを行なうことにより、新商品を共同開発している。たとえば有名ラーメン店のカップラーメンの場合には、有名ラーメン店、ラーメンメーカー、スープメーカー、具材メーカー、容器メーカーが開発チームに参加した。チームの活動は商品開発にとどまらず、販売プロモーションの企画、商流・物流の調整にいたるまで検討される。たとえば米飯を使った商品の場合には、味の劣化が20度以上でも以下でも進みやすいことを発見、米飯専用の配送車両を開発した。チームマーチャンダイジングが行なわれたのは、弁当、おにぎり、調理パン、惣菜、菓子、ドリンク、玩具、ビールなど幅広く、オリジナル商品が売り上げに占める割合は現在50%に至っている。
商品開発は物販に限らず、たとえば公共料金収納など、情報、決済、物流の三種類のネットワークをプラットフォームとして利用可能なサービスを開発している。

出店
 店舗はフランチャイズ方式とし、地域を限定してその中に集中的に出店する(ドミナント方式)。総店舗数は一万店を超え、業界で最多であるが、47都道府県中32都道府県(68%)にしか進出していない。進出済み一都道府県あたり店舗数は、業界他社のほぼ倍である。

物流
 同社では、複数のメーカーの商品を共同で配送する専用の物流体制を構築し、マイナス20度の冷凍配送、5度のチルド配送、20度の米飯配送など適正温度別の配送車両を用意、チルド、米飯などは売れる時間帯に合わせた配送を可能とする一日3便の体制をとりながらも、店一日あたり配送車両は10便に抑えている。この物流管理は、温度管理、リードタイムの短縮、在庫効率や鮮度の向上に貢献している。

店舗運営のサポート
 毎週火曜日に東京の本部で開催されるFC会議では、全国のオペレーション・フィールド・カウンセラー(OFC、店舗経営カウンセラー)やリクルート・フィールド・カウンセラー(RFC、店舗開発担当者)、マネジャー以上の本部メンバーなど2,000人の社員が講堂で一堂に会し、トップからの指示や方針、商品情報、マーケット情報、店舗運営に関するノウハウの共有が行なわれる。OFCは担当する加盟店へ一店につき週に2回以上訪問し、FC会議で共有したノウハウや方針を対面で伝える。これらの情報は、ITシステムを通じて提供される情報とあいまって、加盟店のオペレーション向上や売上拡大に活かされる。OFCは担当地域に駐在しており、FC会議には全国から集合する。交通費などを含め、その費用は年間30億円にのぼる。

パートナーのサポート
 同社自身は本部業務に特化し、フランチャイズ加盟店、物流業者、情報システム管理運営企業、メーカーなどと協力しながら、全体としてスムーズで効率的に運営している。同社の役割は、ノウハウの蓄積・改善と情報の共有である。たとえば物流システムでは、専用配送車両の開発、物流センター運営手法の提供、物流ノウハウの共有を294箇所の配送センターと行なっている。また、取引先との間に構築されている情報システムでは、店舗との受発注や支払い処理に留まらず、店舗の在庫、POS情報が共有され、取引先の在庫管理、生産管理や調達システムに直結している。

活動間のフィット

 ドミナント出店によって出店地域での認知度向上、来店頻度増加、配送効率向上、加盟店サポートのサービス効率向上、広告・宣伝効果向上などのメリットがある。
 ドミナント出店や共同配送などによって物流が効率的であるため適温別の物流が組める。適温を維持できる物流システムによって食品の劣化が抑えられるため、米飯、惣菜類は保存料や合成着色料の使用をやめることができ、商品の魅力強化につながった。また、工場直送ビールやチルド味噌汁、生麺タイプのカップ麺などのチルド食品など、適温別配送で他社に真似のできないオリジナル商品の開発が可能になっている。
(「活動システム・マップ」を参照ください。)

戦略を可能にしたイノベーション

  • 頻繁に変わる顧客ニーズを予想し、事前に必要な商品を品揃えするための仮説?検証型の発注ノウハウ。そしてこのノウハウが加盟店の発注担当者に共有されていること。
  • 1982年にPOSを導入したが、その時から省力化、正確性の向上、不正防止の目的だけでなく、販売情報を本格的にマーケティングに利用。現在は、在庫をリアルタイムに把握できる単品管理システムを、パートナーと共に開発。多くが日本初で、独自のシステム。
  • 共同配送、適温配送、一日3便の配送、ドミナント出店による効率的物流システム。

戦略の一貫性

 「朝起きてから夜寝るまでにちょっと必要なものをいつでも高い品質で提供する」というポジショニング、フランチャイズ方式、「ドミナント出店」、本部業務以外は自ら行なわず他業種との協業をする、単品管理などは1973年の創業以来行なわれてきた。

トレードオフ

  • 低価格で顧客に訴求することはしない。チームマーチャンダイジングによるオリジナル商品も、多くのプライベートブランドと異なり、ナショナルブランドよりも低価格であることを遡及するのではない。値引き販売も基本的に行なわない。
  • 狭い店舗面積で倉庫も小さく在庫をあまり多く持てない中でお客様の欲しいものをきちんと用意するために、品揃えよりも売れ筋への絞込みを重視。例えば、缶コーヒーの銘柄が減っても売れ筋商品に多くの棚面積を割り当てる。棚を埋めるために多くの種類を揃えることはしない。
  • 直営店を中心としたチェーン展開はしない。
  • より広い地域に出店するために物流の効率性を犠牲にすることはしない。
  • 店長とバイトで管理できる以上の広さの店を作ることはしない。
  • 加盟店支援、商品開発、情報提供や情報システムなど、コンビニエンスストアの本部としての活動以外の活動を行なわない。

収益性

 投下資本利益率、営業利益率ともに一貫してコンビニエンスストア・スーパーマーケット業界の平均を大幅に上回っている。

投下資本利益率(ROIC)   (単位:%P=パーセンテージ・ポイント)
5年間平均 単年度 業界平均との差異
業界平均との差異 2002年 2001年 2000年 1999年 1998年
16.1%P 14.6%P 17.3%P 16.2%P 15.3%P 14.3%P
投下資本利益率=営業利益/平均投下資本

営業利益率(ROS)   (単位:%P=パーセンテージ・ポイント)
5年間平均 単年度 業界平均との差異
業界平均との差異 2002年 2001年 2000年 1999年 1998年
38.3%P 36.0%P 39.0%P 39.2%P 39.4%P 36.1%P
営業利益率=営業利益/売上高

活動システム・マップ

受賞企業・事業部 PDF

第17回 ポーター賞 応募期間

2017年5月 8日(月)〜 6月 5日(月)
上記応募期間中に応募用紙をお送りください。
PAGETOP