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受賞企業・事業部レポート

株式会社スタートトゥデイ

2014年度 第14回ポーター賞受賞 ファッション・ショッピング・サイト運営

ファッション性の高いアパレル商品のオンライン販売に成功。

アパレル・ブランドのイメージを損なわないショッピング・モール形式のウエブサイトを運営することで、アパレル・ブランドとファッション好きの消費者の双方に利益をもたらしている。

株式会社スタートトゥデイ(以下、スタートトゥデイ)のZOZOTOWN事業は、20代から30代を中心に、600万人以上の会員を有する。ファッション性の高いブランドに特化し、洋服、靴、バッグ、アクセサリー、雑貨、コスメ、インテリアなど2026ブランド(2014年3月末)から常時21万点以上が販売されている。
同社は、物流・システム・サイトのデザインを自社開発することで、利便性が高く、ブランドの世界観を崩さないサイトを構築。全ての商品が自社倉庫を経る物流を組むことによって、実寸表記のための商品採寸、充実した写真撮影を行い、顧客へのきめ細やかな商品情報の提供が可能になり、これが、ネットでは売れない、と言われていたファッション性の高い商品のオンライン販売を可能にしている(ZOZOTOWNが成功する前は、多くの人々が、ファッション性の高いアパレル商品をオンラインで売ることはできないと考えていた)。
自分達の好きなものを顧客に届けるという軸を持ち、「好きなことしかしない」方針。6時間労働、本社近辺居住者への手当など、働き方も革新。

ユニークな価値提供

「自分たちの好きなものを、好きといってくれる人に届けよう」という同社の言葉が、その価値提供を端的に表現している。スタートトゥデイのターゲット顧客は、価格や機能だけで洋服を選ぶのではなく、ファッションとして洋服を選び、楽しむ「ファッション感度が高い」顧客である。顧客の平均年齢は31.4歳で、58%が女性、42%が男性。
同社が運営するオンライン・ショッピング・モールは、取扱商品をファッション関連の商品に限定しており、ZOZOTOWN (ファッション)、ZOZOVILLA (ラグジュアリー・ブランドのファッション)、ZOZOMARKET (個人のクリエイターや小規模なアパレル・メーカーを集約するオンライン・マーケット。同社の子会社、Bracket, Inc.が運営) 、ZOZOUSED (ブランドのファッション古着オンライン販売。同社の子会社、Crown Jewel, Inc.が運営)など、取扱い商品に合わせていくつかのショッピングサイトを運営している。顧客がこれらのサイトで買い物をする際には、ワンストップショッピング の利便性を享受することができる。
ZOZOTOWNは、日本国内で最大級のファッション・ショッピング・サイトであり、幅広い品揃えを誇る。2026ブランドを取り扱っているが、これは、次に大きいファッション特化型オンライン・ショッピング・サイトの4倍から5倍に相当する。またZOZOMARKETには、6万店が出店している。
ZOZOTOWNでは、簡単に商品を検索することができる。ブランド・ショップごとの検索だけでなく、Tシャツやスカートなどの商品カテゴリーで検索できる他、 キーワード、柄、袖丈、ヒールの高さなど、多様な条件で検索することができる。さらに、着丈、肩幅、身幅などを、5ミリ単位で絞り込むことができ、自分にあったサイズの商品を選ぶことができる。これが可能なのは、同社が全ての商品を自社倉庫で採寸し直し、実寸表記でサイズ情報を登録しているからだ。また一度利用した検索条件を保存し、次回以降の検索時に使用することもできる。
また、同社は、スマートフォン用アプリケーションであるWEARを開発し、ファッション・コーディネートを提供している。アパレル・ブランドのショップ・スタッフや、WEARISTA(モデル、アーティスト、ファッション・デザイナーなどファッション感度が高く、同社から認定されている人たち)、一般ユーザーが利用し、コーディネートを投稿したり、検索することができる。コーディネートで使われているアイテムの商品情報は、ZOZOTOWNなどのECサイトと連携しており、WEARで見た商品を購入することもできる。2013年10月のサービス開始以来、100万以上のコーディネートが投稿された(2014年3月末現在)。またユーザーは、WEARのSNS機能を使って、コメントやファッション情報を交換することができる。また、既に持っている洋服をWEARのマイクローゼット機能に登録しておくこともできる。
アパレル・ショップやブランドは、ZOZOTOWNを、日本各地にいるファッション好きの消費者に対する販売チャネルとして利用できる。スタートトゥデイは、ショッピング・モールの場所を提供し、受託販売を行い、受注、発送、カスタマーサポート機能、出店ショップへのコンサルティング・サービスを提供し、初期出店料と販売手数料を得る。各ショップには担当がつき、販売の傾向などに基づいて品揃えなどの提案を行う。ZOZOTOWN内の企画ページでは、追加料金なしで各ブランド・ショップが販売促進活動を行うことができる。

独自のバリューチェーン

スタートトゥデイは、ユニークなバリューチェーンを作り出しており、その結果、ファッション性の高い商品のオンライン販売、急速な成長、高い顧客満足を実現している。

調達と品揃え:
スタートトゥデイへの出店基準のひとつは、「スタッフの誰かが大好きなブランドである」ことだ。従業員の平均年齢は28.7歳で、顧客の平均年齢は31.4歳(いずれも2014年3月末現在)と、同じ年齢層に属する。オンライン・ショッピング・モールの内の各ショップにおける品揃えは、基本的に各ショップやブランドに任されている。ブランド古着をオンラインで扱うZOZOUSEDでは、手持ちの洋服を売りたい顧客は、商品発送用段ボール資材の申し込み、査定、買取まで全てオンライン上で手続きを完結することが可能である。

インバウンド・ロジスティクス:
スタートトゥデイで販売される全ての商品は、同社の物流センターを通る。物流センターまでの配送は、アパレル・ブランドやショップが自社負担で行う。物流センターでは、ファッション好きの社員が、一つ一つのアイテムを実寸(身幅、肩幅、着丈など)で測る。また、この物流倉庫で商品を撮影。サイトにはひとつの商品につき10枚ほどの写真が掲載され、商品の特徴となる細部にフォーカスした写真もユーザーに情報として伝えられる。

アウトバウンド・ロジスティクス:
スタートトゥデイは、配送は配送業者に委託している。関東エリアでは、午前9時までに行われた注文は同日中に配達され、夜9時までに受け付けた注文は翌日の午前中に配達される。このサービスは、東京、神奈川、千葉、埼玉県で提供されており、追加料金500円で選択が可能であり、全配送の35%がこのサービスを選択した。(2014年10月1日より本サービスの手数料は無料化された。また、2014年10月1日より、関西エリアでも即日配送サービスを開始し、これにより関東エリアと合わせて、出荷件数全体における50%以上が本サービスの対象となった)。通常配送の場合は、1回の注文が3,000円以上で配送料が無料、3,000円未満の場合は350円の配送料が必要となる。

マーケティング・セールス:
スタートトゥデイは、ファッション、ラグジュアリー・ブランド、ブランド古着など、取扱商材に応じて異なるショッピングサイトを運営。ブランドやショップのイメージを損なわない販売チャネルを提供している。
同社は、顧客とは、収益性に関係なく、友人のような関係を築くことを目指している。友人に行うような親身な対応をするため、自社でカスタマーサポート部門を保持していることはもちろん、150種類以上の電子メールを用意し、顧客が購入した商品のお手入れ方法を記載したメールや、住所変更した顧客に対しインテリア紹介のメールなど、顧客一人ひとりにあわせた「サービスとしてのメッセージ」を受け取ったと感じられるよう、顧客との直接のコミュニケーションをとっている。同社はこのアプローチを、Customer Friendship Management(CFM)と呼ぶ。 オンライン・ショッピング・モールへの出店者へのサービス:
各ショップには、同社のEC担当者が配され、販売傾向などの情報共有と品揃えや販売促進策などの提案を行う。このサービスの結果、同社は、十分に幅広い品ぞろえと、その在庫を同社の物流センターに持っているため、消費者には多くの商品から選択する楽しみと、迅速な配達を提供できている。
人的資源管理:
スタートトゥデイでは6時間労働制(朝9時から午後3時まで、昼休みなし)を導入し、社員は業務が終了すれば午後3時に帰宅することも可能。また、同社は、本社の近くに住むことを奨励し、そのような従業員には月5万円の手当を支給している。この施策は、地域に貢献するという考えの下始められた。
研究開発:
スタートトゥデイは、物流システムを自社開発している。このシステムは、商品情報登録システム、ECサイト側のシステム、受注・在庫管理システムが統合されており、システム都合による締め処理や、データを出し入れする必要がない。またシステムやデザインを自社開発しているため、ユニークな特徴を維持しながら、短期間で新しいサービスを開発したり、サイトデザインを適時変更することが可能である。

活動間のフィット

スタートトゥデイの活動は、「自分たちの好きなものを、好きといってくれる人に届ける」という同社の方針を軸に選択され、コーディネートされている。その中でも中心となる活動は、「ファッション好きのスタッフ(採用と育成)」、「お客様が欲しいと思う商品(品揃え)」、「ZOZOBASEでの自社物流」、「ファッションECとして利便性の高いサイト構築」である。(本セクション最後に掲載した「スタートトゥデイの活動システム・マップ」を参照ください。)

戦略を可能にしたイノベーション

  • アパレル・ブランドのイメージ維持と、ブランドを超えた商品比較が同時に可能な、ファッション・ショッピングモールという概念
  • 「スタッフの誰かが大好きなブランドであること」という出店基準
  • 6時間労働
  • 幕張手当(本社の近くに住む従業員への手当)

戦略の一貫性

スタートトゥデイの創業者でありCEOの前澤友作は、以前より「自分が好きなものを好きといってくれる人にも届けたい」という想いを持っていた。それは1995年の輸入レコードと輸入CDのカタログ販売に始まり、2000年にカタログ販売からオンライン販売に切り替えた際に、当時好きだったブランドのファッション・アイテムの販売を開始した。当時は、ネットで服は絶対に売れないと言われていたが、オンラインでアパレルのセレクトショップ運営を始め、地道に営業を続けることで新しいブランドを徐々に取り扱えるようになっていった。2000年の年商は1億円であった(当時は買取販売)。2004年には、ブランドのジャンルごとに分けて運営していた複数のオンラインセレクトショップを、ファッション・ショッピング・サイト「ZOZOTOWN」と改変した。当時の取扱いは250ブランド、17ショップだった。
同社の歴史を通じて、「自分たちの好きなものを、好きといってくれる人に届ける」のが、事業のコア概念であった。これは、「スタッフの誰かが大好きなブランドである」という同社の出店基準にも反映されている。同社は、扱う商品、行う活動を、一貫して、自分たちの好きなこと、を軸に選択してきた。ラグジュアリー・ブランドやブランド古着の取り扱い、WEARなどの新しいサービスは、より広く「自分たちの好きなものを、好きといってくれる人に届ける」ために追加されている。

トレードオフ

  • 従業員がお客様視点になりきれない市場をターゲットしない。従業員が一顧客として考えられることが、重要。
  • ブランドの世界観をスタートトゥデイが表現することはしない。スタートトゥデイは、ニュートラルなプラットフォームの提供を行い、その上に、各ショップが自分らしい色をつける。
  • 基本的にスタートトゥデイ発信で販売促進を行わない。各出店ショップはZOZOTOWN内の企画ページを無料で利用でき、そこで販売促進等の企画を行う。
  • 買取販売をしない(原則)。受託販売をする。
  • マスメディアを使った広告をしない。CFM(Customer Friendship Management)に基づいたワン・トゥー・ワン・マーケティングに特化する。
  • オンライン・ショッピング・モール上でWEB広告を販売しない。広告収入を得ていない。顧客にとって買い物しやすいシンプルなサイトデザインを維持。
  • 成果報酬を出さない。基本給とボーナスは役職関係なく全社員一律。
  • 8時間労働制を採らない。一日当たりの基本給は変えずに維持しつつ、6時間労働制を導入した。その結果、時間外労働は半減した。
  • システム開発を外注しない。
  • 物流管理を外注しない。
  • サイトデザインを外注しない。

収益性

投下資本利益率、営業利益率ともに業界平均を大きく上回っている。

活動システム・マップ

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第17回 ポーター賞 応募期間

2017年5月 8日(月)〜 6月 5日(月)
上記応募期間中に応募用紙をお送りください。
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