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受賞企業インタビュー

前田工繊株式会社 インフラ事業

前田工繊株式会社
point
  • 土木資材:耐候性大型土のう、面状補強材、立体構造ネット...
  • 地域に根ざした営業体制:提案から施工指導、アフターサービスまで一貫して担当するセールスエンジニア
  • 「前田工繊は混ぜる会社です」
  • 7社を事業譲受もしくは買収
楠木
前田工繊という会社をご存じの方、手をあげてください。殆どいらっしゃいません。では、自動車の高級アルミホイールのBBSというブランドをご存じの方、手をあげてください。多くの方がご存知のようですが、実はBBSは前田工繊の子会社なのです。今回ポーター賞を受賞したのはBBSではなくインフラ事業です。インフラ事業のお客様は公共工事が多い、という理解でよろしいですか。
前田
ほぼ9割が公共工事です。元々は道路の新設工事の資材提供が多かったのですが、2000年以降は災害対策用品、応急復旧工事のための資材が増えています。ただし最近では公共工事で採用される技術の、民間工事への転用も進んでおり、その分野の比率も年々高まってきています。
楠木
高度成長期の日本では建設土木工事が多かったのですが、成熟期の現在は、色々な状況に応じた問題解決型の工事にシフトしているということですね。前田工繊は、勿論商品が高い機能をもっていると思いますが、戦略という観点で見た時に一番面白いと思うのは売り方です。
工事にはいろいろな工程があるのですが、普通は工程ごとに担当者が異なる、一部を代理店に任せるといった体制を採ることが多いのですが、前田工繊の場合は、全行程、全ステークホルダーを担当する方を置いています。このやり方が何故、独自の価値を提供できるのか、教えてください。
取締役COO専務執行役員 前田尚宏 様
取締役COO専務執行役員 前田尚宏 様
前田
通常のインフラ整備は設計発注→設計業務→工事発注→工事実施→メンテナンスと進んでいきます。わが社の特長といたしまして、各工程の異なる担当者の方々に対して、一人のセールスエンジニアが一気通貫で担当します。
インフラは生活に不可欠なものですが、そのインフラは本当に必要なものなのかという視点が重要なのです。当社では、各県をカバーする営業マンがおり、出来るだけその地方の出身者を担当とするようにしています。その営業マンが普段の生活で体験したインフラの課題について、その地方の生活をより快適にできるようなプランを自治体に提案しています。
わが社では人事異動が少なく一つの地域を20年、30年担当することもあり、インフラの状況を深く把握し何処に問題があるのか、どのように直せばよいのかを認識しており、それが差別化になっていると思います。
楠木
その担当の方が過去に実施された工事も全部把握し、更には、単なる営業マンではなく、構造計算までできるような人材を配置されているとお聞きしていますが。
前田
我々はセールスエンジニア集団を目指しています。この業界に必要な知識を持つために資格を取るようにし、その知識を使って、お客様からの依頼に対し、構造計算や図面を描くなどのソリューションを提案できることが特徴です。
楠木
一般的に公共工事は入札から始まる、というイメージを持っていましたが、そうではないのですか。
前田
先ほどご説明したとおり、工事実施前の設計業務があります。その時点での、今お話ししたような提案型の営業を目指しており、それを可能にするのが、その地域に根を下ろした営業マンの存在と考えています。
楠木
他社にはない情報を持っていることが価値を創り出しているということですね。次に、アフターセールスではどうでしょうか。
前田
IoTを使った取組みを始めています。例えば、土の中にセンサー機能を具備した光ファイバー入りネットを埋めて歪を監視し、歪が一定以上になった時に改修工事を提案しています。特に自然災害発災後の構造物の健全性評価などに貢献できると考えております。
楠木
そのような予防対策を講じることは自治体にとっても経済面も含めたメリットがあると思います。
御社は一貫した体制を築いていますが、何故、業界一般では分業することが多いのですか。
前田
本当に必要な公共工事にするためには、その地域を愛することが必要だと思っています。だから、地元で採用に、そこで生活し、最初から最後まで自分でやり遂げる気持ちを持つことが、中央志向が強い他社には難しいのかもしれません。
楠木
前田工繊は好業績をあげていますが、他社が同じことをできない、というか、そもそもマネしようとも思わないことが、持続的な競争力の源泉があるという良い例だと思います。
前田工繊は混ぜる会社です、と仰ってますが、混ぜるとはどういう意味ですか。
前田
2000年以降、11社買収しています。その分野は土木だけだはなく、先ほどのアルミホイール、農業のビニールハウス、繊維加工の会社もあります。また、買収では技術を買うという側面があります。アルミホイールでは鍛造の技術、ビニールハウスではフィルム構造を工夫した省エネ技術です。縦軸に技術を置き、横軸に事業分野を置いて、そのマトリクスを回しています。
我々の買収先は地方の中小メーカーです。例えば、その地方でしか売れなかったものを、技術も人も様々なものを混ぜて全国展開する、そして最終的には地元で新たな雇用が生まれ、地方再生の一助となる、これが混ぜる会社と思っています。
楠木
モノづくりに拘る企業が内向きになる傾向があるのに対して、事業の成長に買収や事業譲受を活用しています。また、モノ作りでも、他社の汎用品を柔軟に使用しており、開かれた面があり、その辺が、混ぜるという表現が使われているように思います。

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