競争戦略のダイナミズム

受賞した戦略は、環境変化に、どのように対応したか?

ポーター賞は、2021年に設立20周年を迎え、これまでに、73の企業・事業が受賞しました。
受賞企業・事業は、受賞後の環境変化にどのように対応したか、どのように強みを維持強化し、どんな変化を起こしたか。
優れた戦略の変動を追うことは、企業経営のさまざまなヒントが隠されています。
受賞企業に改めてインタビューを行い、受賞した戦略のその後をレポートしました。
(ポーター賞運営委員 大薗恵美 2021年1月)

第3回 マブチモーター株式会社

代表取締役社長CEO 大越博雄氏
代表取締役社長CEO 大越博雄氏
代表取締役社長CEO 大越博雄氏に、ポーター賞運営委員の大薗恵美、一橋大学教授がインタビューしました。(実施2020年12月11日、オンライン)

マブチモーターは、2001年、第1回ポーター賞を受賞しました。
マブチモーターは、小型モーターに特化した専業メーカーです。2001年には、小型直流モーターの世界シェア約6割を持ち、音響・映像機器が売上の42.6%(数量ベース)を占めていました。しかし、CDプレーヤーの衰退という環境変化に直面し、以前から手掛けていた自動車電装機器向けの市場を更に開拓し、2019年には自動車電装機器用途が同社売上の71.0%(数量ベース)を占めるまでになりました。
注目すべきは、「小型モーターへの特化と標準化」というそれまでの戦略を変えずに、自動車電装機器市場への転地に成功したことです。
新しい市場に臨む時、それまでの自社のやり方をどこまで貫き、どこを変えるかは重要な問題です。マブチモーターの経験が、皆様が市場の変化に対応する際のヒントになれば幸いです。

第2回 株式会社パーク・コーポレーション 青山フラワーマーケット事業

代表取締役 井上英明氏
代表取締役 井上英明氏
代表取締役 井上英明氏に、ポーター賞運営委員の大薗恵美、一橋大学教授がインタビューしました。(実施2020年12月9日、オンライン)

青山フラワーマーケットは、2009年にポーター賞を受賞しました。
青山フラワーマーケットの価値提供は、手ごろな価格、新鮮で多様な普段使いの花です。本部が目利きしたリストから店が発注し、結果を日報で見る事で店が学習し、売れ残りが減ります。頻繁な仕入れと交通量が多い駅ビルなどへの出店も回転の早さと低い廃棄率に貢献し、手ごろな価格を支えます。
その後、強みを崩さず成長しました。出店ペースは年5店ほど。急拡大しないのは、出店を交通量の多い所に限るからです。既存店売上は成長し、廃棄率は低いままです。
ダイナミックな動きは、価値連鎖と海外展開にあります。花に季節感を加える付属品の開発を内製化して開発を迅速化、付加価値を取込み、店舗デザインはオフィス緑化事業に育てました。海外展開にも期待できます。

第1回 株式会社堀場製作所

代表取締役社長 足立正之氏
代表取締役社長 足立正之氏
代表取締役社長 足立正之氏に、ポーター賞運営委員の大薗恵美、一橋大学教授がインタビューしました。(実施2020年4月15日、オンライン)

堀場製作所は、2005年にポーター賞を受賞しました。
堀場製作所は、周辺領域への拡大によって付加価値を高めて利益率を改善しつつ成長した例です。同社は、「はかる」コア技術を持った会社であり、エンジン計測システム機器事業が受賞しました。今はエンジンに加えて二次電池や燃料電池、材料からセル・モジュール、駆動系、車輛までの分析・開発支援ができます。また、機器単品でなくシステムで提供するという受賞時の戦略がさらに進化し、機器を売ることなくサービスだけ提供する事業も進めています。
この変革を支えたのは、理想の顧客支援体制からバックキャストし、成長に必要な組織能力を買収により手に入れ、システムやサービスとして提供できるだけの高いレベルで統合する力でした。

第24回 ポーター賞 応募期間

2023年5月 8日(月)〜 6月 5日(月)
上記応募期間中に応募用紙をお送りください。
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主催

Hitotsubashi ICS 一橋大学大学院 国際企業戦略研究科
一橋ビジネススクール
国際企業戦略専攻
― 企業人材育成プログラム ―

協賛

三菱UFJモルガン・スタンレー証券
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