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受賞企業インタビュー

株式会社丸井グループ カード事業

株式会社丸井グループ
point
  • 小売とカードの一体運営
  • ターゲット顧客は若年層
  • ゴールドカードを富裕層囲い込みの手段としない
  • 利用実績に基づいた与信管理
  • 小売・カードの知識を併せ持つ人材
楠木
丸井グループではエポスカードを展開されています。戦略とは競争相手と違いを作るということですが、カードビジネスは成熟していますし、人口も増えない日本では、他社との差別化は簡単ではないと思うのですが、エポスカードは非常にユニークな戦略をもっています。まずターゲットが他のカード会社とは異なっています。どの層をターゲットにしているのですか。
青井
楠木先生、会場の方に、エポスカードを持っているか聞いていただけませんか。
楠木
ではお聞きします。エポスカードを持っている方、手をあげてください。一目瞭然、手を挙げた方は若い方ですね。
青井
ありがとうございます。今、手をあげていただきましたように、ターゲットは若年層です。39歳以下が約60%で、競合他社の真逆になっています。ここが最大の違いです。
楠木
「初めて作るカード」というイメージですね。また、年会費ではなく、ショッピングやリボルビングの決済で収益を上げるという点も他社とは違います。何故このような独自性を持っているのかを考えると、元々は小売業ですが、小売りと一体化したカード事業を展開していることです。そのポイントを教えてください。
代表取締役社長 青井浩 様
代表取締役社長 青井浩 様
青井
丸井は1931年の創業ですが、最初は家具の月賦販売で行っていました。すなわち、商品の販売と、そのための信用供与を一体としたビジネスです。創業以来85年、小売りと信用供与を一体化したビジネスを、時代とお客様の変化に合わせて進化させてきたのが丸井グループの歴史です。
楠木
一体という意味でも、新しくカードを作る方は店頭が多いのですね。
青井
新規会員の70%は丸井の店頭です。また、商業施設と提携して、丸井以外の店頭でも、お買いものの場(Point of Purchase)でカードを発行させていただいています。
楠木
エポスカードでは、新規会員にその場でカードを渡すようですね。
青井
申込いただいたその日その場でカードをお渡しすること、にとても拘っています。そのために技術面でも多くの苦労がありました。今はタブレットを使って20分程度で発行しており、この時間の短さが入会しやすさを創り出しています。
楠木
印鑑がなくても銀行引き落としの手続きできると聞いていますが、印鑑がなくても可能なのですか。
青井
銀行のキャッシュカードからデータを読み取って手続きしています。
楠木
買い物に来たついでにカードができてしまう、ということですね。
青井
10万円の売り上げに対しどれ位新規会員になったかという、新規会員の獲得率が、小売りを母体とした企業の中では、他社の3倍から4倍となっています。
楠木
機能面ではどのカードも大きな違いはありません。しかし、どういう経緯で会員になって、そのカードをどのように認識しているかによって、その後の利用が違ってくる。人間の心理を鋭く衝いたビジネスですね。
青井
月賦販売の時代から変わらず、丸井の主なお客様は富裕層ではなく、一般的な収入の方、今は収入が少ないがこれから増えるであろう若者です。
最近、ファイナンシャル・インクルージョンという言葉を耳にしますが、若者や一般的な収入の方を顧客層としてきた丸井は、85年間これを続けてきたのだと思っています。
楠木
与信の仕方でも、他社は入会時の顧客の経済状況により決めていますが、丸井の場合は利用状況などに応じて与信管理していますね。
青井
この考え方がかなり特異なことだと思っています。与信哲学と呼んでいますが、創業者の言葉に「信用はお客様に提供するものではなく、丸井とお客様が一緒に作っていくものである」とあり、これを基に、今、「共創経営」を唱えています。収入に関係なく低い限度額からスタートし、利用実績に応じて限度額をあげていく、共に信用を育てていくということです。実は貸倒率も業界最低水準なのです。
楠木
ゴールドカードも意味合いが他社と違っていますね。
青井
世界中のゴールドカードの中でも、エポスカードのゴールドカードは特異な存在です。一般的にゴールドカードは、富裕層の方にプレミアムなサービスを提供し高い年会費をいただくというものですが、エポスカードでは「ゴールドカードはお得意様、良く利用される方に持っていただく」という考え方をしており、年会費も無料(インビテーションで切り替えた場合)としています。
楠木
ゴールドカードの割合が20%で、その方々が売り上げの60%を占めているとお聞きしましたが、ゴールドカードの方は、メインカードとしてお買い物をしているということですね。
青井
「最初に作っていただいて生涯使っていただく(Start & Forever)」が最初のコンセプトでした。お店で作っていただいたカードを長く使っていただくための答えの一つがゴールドカードなのです。
当初、女性のゴールドカードへの移行率は男性の半分程度でした。お客様の声をお聞きしてみると、インビテーションに「年会費永年無料」と書かれても信じられないということでしたので、店頭で年会費が永年無料であることを直接販売員が説明するようにすると、女性の移行率が急激にあがりました。
楠木
これも、小売りと一体となっているという特徴で、Face to Faceが有効であるということですね。
これ程成熟しているカードビジネスでも戦略によっては差別化できるという非常に鮮やかな例であったと思います。

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