受賞式・カンファレンス

受賞企業インタビュー

株式会社オープンハウス 戸建事業部

株式会社オープンハウス
point
  • 東京に、家を持とう。年収500万円から1000万円で手が届く好立地の一戸建
  • 設計や施工に手間のかかる土地
  • 不動産仲介事業者への訪問頻度を重視した仕入
  • 設計と施工管理の知見の蓄積
  • ニーズ喚起型の源泉営業
  • サプライチェーン全体を滞ることなく高速で動かす
楠木
荒井社長は、久々に現れた戦国大名、非常にアグレッシブな経営者です。いわば「織田信長と豊臣秀吉と徳川家康を足して、3で割らないタイプ」です。業績も、東証一部上場企業で最も急成長しています。受賞対象となったのは首都圏の戸建事業です。年収が500万円から1,000万円くらいの方が、最初に買う戸建住宅ということになるのでしょうか。東京という戸建事業には厳しい環境で急成長した訳を、土地を仕入れる、家を建てる、そして販売する、というステップごとにお聞きします。まず、土地の仕入ではどのような特徴があるのでしょうか。
荒井
この業界では、土地の仕入れは目利きのでき、ある程度長い経験があるベテランが担うことが多かったのですが、当社では、運動量が多くお客様との接触頻度を上げられる若手に行わせました。平均25歳位で、おそらく他社より10歳以上は若くなっています。
楠木
なぜ、若い人が良いのでしょうか、なぜ頻度を重要視しているのでしょうか。
荒井
元々、不動産業界は比較的収入が高く、一軒売ると大きな収入になっていました。そして既存顧客に重きを置き、新規顧客に消極的になりがちで、年齢も高くなっていました。
楠木
御社の場合は、色々を動き回って様々な情報を得ているということですね。更に、仕入れる土地にも独特のお考えをお持ちですが。どのような土地なのでしょうか。
荒井
線路際、墓地の横、道路の一番奥、三角の土地、そのような土地が好きです。
楠木
お聞きのように、鮮度の高い情報を得ることにより、結果として仕入価格を下げる効果を生み出している、ということですね。次は建物についてお聞きします。大手のハウスメーカーが沢山ありますが、オープンハウスの違いは何でしょう?
荒井
ハウスメーカーはマニュアル、ルールに縛られる傾向があります。当社は木造在来工法ですので、如何様にも対応しています。
楠木
つまり、狭小地や奥まった場所でも、その状況に合わせているということですね。ただし、余計なコストは掛けないということになるのでしょうか。
代表取締役社長 荒井正昭 様
代表取締役社長 荒井正昭 様
荒井
我々は住宅メーカーではないので、お客様が何を欲しているのかが第一です。おそらくメーカーは、自分たちが作りたい家を作りがちになるのではないでしょうか、お客様にとって家がガラパゴス化していると感じます。当社はあくまでもお客様が何を考え、何を希望するのかが第一です。20年前、30年前はタイル張りの家を望まれる方が多くいましたが、今のお客様は、余分なものがない、自分らしい家を求めています。この業界の大手はメーカーが多く、言わば作る側の企業ですが、当社は仲介業者が発端ですので、お客様に気に入ってもらって、買っていただく、という考え方をします。
楠木
販売も他社と全く違いますね。業界でいう「源泉営業」が多いそうですが、それについて説明してください。
荒井
源泉営業とは、その物件の近くでお客様に声掛けをすることです。
楠木
源泉営業がすごく効果的とお聞きしましたが。
荒井
過去の経験から、家を買う人の7、8割は今の家の近くを選んでいますので合理的な方法だと思いますが、この営業方法を他社は敬遠しています。
楠木
その営業の場でも、高い頻度でお客様と接しているということですね。若い社員にとっては、都心で高額商品である建売住宅が売れるというのは達成感のある仕事ですね。
荒井
そうですね。ただし、若い社員だけで最初から最後までやるわけではなく、チームで活動し、ポイントではプロが参加します。
楠木
今、3つの段階でお話しをお聞きしましたが、これをシームレスにつなげて高速でサイクルを回せるということに高収益の秘密があります。オープンハウスは好業績をあげていますが、特に注目すべきはROIC(投下資本利益率)が際立って良いことで、サイクルのスピードがポイントとなります。ROICが不動産業界で何故重要なのかを説明してください。
荒井
当社は、ROICには強く拘っています。この業界では、財閥系の大手以外では、成長し続ける会社はありません。市況は変化しますので、悪くなった時に会社を潰さないためにBSを軽くすることが必要で、そのために高速で回すようにしています。ですから、財閥系よりも独立系のほうが自己資本比率は高くなっています。
楠木
それまで分断されていたものを一気通貫にスピードで勝負していくというのは、業界は違いますが、ユニクロのようにSPA(Speciality store retailer of Private label Apparel)になっていくのと同じ現象です。しかし高額商品ですのでこのような戦略を持つ企業が出てこなかった、ということかと思います。
本日ポーター先生の講演にあったスマート・コネクティッド・プロダクツの活用もご検討していると聞きましたが。
荒井
まだアイデアレベルですが、一般的にスマートハウスと呼ばれているものより数段高いレベルを考えています。やるのであれば、他社を大きく引き離すようなものを最初に出したいと思います。
楠木
着工件数が多いので、ネットワークという切り口には、今後の競争優位性がある気がします。

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第24回 ポーター賞 応募期間

2024年5月 7日(火)〜 6月 3日(月)
上記応募期間中に応募用紙をお送りください。
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