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受賞式・カンファレンス

協賛企業挨拶

三菱UFJモルガン・スタンレー証券株式会社
取締役副社長 中村春雄 様

「物言う株主」の新たな潮流

三菱UFJモルガン・スタンレー証券株式会社 取締役副社長 中村春雄 様 受賞各社の皆様おめでとうございます。ビジネスの益々のご発展を心よりお祈りしています。

本日は、日本でも今後活発化すると予想されているアクティビスト(物言う株主)の動向についてお話しします。公表されているアクティビストによる提案数の推移を見ると、2016年には約800件となっており、これは2012年対比2倍強増えており、公表されていない提案はこの数倍あるとも言われています。
アクティビストとは、株式を一定程度取得した上で、経営効率の改善、事業ポートフォリオの見直し、株主還元強化等の提言・提案を行う株式投資家です。

数年前と異なるのは、サードポイントのような伝統的なアクティビストのみならず、ロングオンリーなどの投資家も株主提案を行うようになっていることです。
また、アプローチ方法が洗練化されてきており、事業内容や資本構成等について深い分析を行ったうえで株主提案を行い、議決権行使助言会社や優良機関投資家の賛同を得ながら提案を行うという新しいトレンドが始まっています。
日本でも2013年にソニーに対して行った株主提案を公にしたサードポイントの件は大きな注目を集めました。また、2015年には旧村上ファンドのレノと黒田電気との間で委任状争奪戦が繰り広げられましたが、昨年の株主総会では、レノが推薦する社外取締役の選任に関して株主提案が可決されました。多くの一般投資家がレノの提案に賛成したことは、日本におけるアクティビズムが新たな局面を迎えたことの象徴的な出来事と考えています。

最近の事例で、昨年世界で注目されたのは、時価総額25兆円のP&Gに対する史上最大規模の委任状争奪戦です。アクティビストとしても知られる大手資産運用会社トライアン・ファンドが、P&Gの1.5%の株式を取得し詳細な分析に基づいた経営計画案を90ページ強の白書として公開し、同社代表のネルソン・ペルツ氏を取締役に選任するよう株主提案を行いました。議決権行使助言会社に加え、Black RockやState Streetといった主要機関投資家もトライアンの提案に賛同し、結果ペルツ氏はP&Gの推す取締役と非常に僅差で敗退したものの、ペルツ氏が約50%の賛成票を取得したこともあり、P&Gは同氏を社外取締役として迎えることを発表しています。今回の提案は、"Why Not?"アプローチと呼ばれているもので、P&Gに対する明示的な要求を社外取締役1名の追加のみに留め、CEOや取締役の交代等のアクティビストによる一般的な要求は行わず、P&Gの経営の混乱が最小限になるよう配慮することで、他の株主から「トライアンの要求に反対する理由が特にない」と考えさせるような提案を行ったことが、これまでのアクティビストとは大きく異なると考えます。

それでは、どのような企業がアクティビストに狙われやすいのでしょうか。最も狙われやすいのは、企業の本源的価値(Intrinsic Value)に対して、現在の株価・企業価値が大きなディスカウントとなっている企業です。収益性の低い事業を多く抱え、事業間シナジーも小さく、資本効率性が低いことによりPERやEBITDAマルチプルが押し下げられているコングロマリット企業、所謂コングロマリット・ディスカウントも大きな要因の一つです。ディスカウントを解消するためには、事業ポートフォリオの思い切った見直しを行い、収益性及び資本効率性が低いビジネスを売却し資本を回収し、買収を含むコアの成長分野への資本投下に向ける必要があると考えます。

また、資本構成や株主還元に課題がある企業もターゲットになりやすいと考えます。このような企業は、最適資本構成(Optimal Capital Structure)を目指し、自社株買い、増配を実施し、今後の中長期的な資本活用戦略(所謂Capital Management Strategy)を発表し、投資家からの理解を得る努力をすべきと考えます。また、上場子会社を持つ企業は、少数株主との利益相反により、アクティビストに狙われることが多くなっています。

株主総会シーズンに向けて、日本でもアクティビストによる動きが活発化し、株主提案が急増すると予想されます。時価総額が数千億円を超える大手企業もターゲットとなり得る新たな局面に入ったと考えます。経営陣がこのような環境変化を認識し、スピード感を持って、事業ポートフォリオの思い切った見直し、成長分野への投資、適切な資本戦略、優秀な経営者を社外取締役に迎える等の各種施策をアクティビストから株主提案を受ける前に自発的に実行し、収益性及び資本効率性を高め企業価値を向上させる事が、アクティビストに対する最も有効な防衛策と考えます。

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