• ポーター賞とは
  • 受賞企業・事業レポート
  • 受業式・カンファレンス
  • 審査基準
  • 募集要綱
  • 応募方法

受賞式・カンファレンス

受賞企業インタビュー

インタビュワー:一橋大学大学院国際企業戦略研究科 教授 大薗恵美

株式会社カチタス
代表取締役社長 新井健資 様

株式会社カチタス

カチタスが生む価値

大薗
カチタスは、中古住宅を買い取り、リフォームして販売する、という会社です。日本の空家は年々増加し、今後も更に増加すると予想されています。その要因の一つとして固定資産に関する税制があるそうです。今の固定資産税は家が建っていた方が税額が少ないので、空家であっても壊さずにそのまま残す傾向があるようです。カチタスは、中古住宅をリフォームし、シロアリを駆除・予防し、土地の権利をクリアにして駐車場を確保する等、住みやすい家にして販売しています。中古住宅に価値を足す、カチタスという社名の由来です。

カチタスが大都市圏ではなく地方で業績を上げているのは何故でしょうか。
株式会社カチタス 代表取締役社長 新井健資 様
新井
安くて良い住宅を求める、ということは大都市でも地方でも同じです。大都市圏では中古マンションがその供給源として大きな役割を担っていますが、マンションが少ない地方では中古戸建住宅がその候補となる訳です。地方で中古住宅が売りに出されるのは主に相続の時で、築30年、40年の空家が市場に出るのですが、汚れていてそのままでは住めません。安くて良い住宅に住みたいというニーズに対し、地方では、新築は高くて買えない、賃貸は良いものがない、中古住宅はそのままでは住めない、という状況であり、カチタスにとって大きなビジネスの機会となっています。

個別性の高いビジネス

大薗
このビジネスが難しいのは、全国に物件が分散し個別性が高いからだと思います。個々の物件ごとに御社、工務店、防蟻業者が相談してリフォーム内容を決め、それにより販売価格を決めることになりますが、このように個別性の高いビジネスを全国的に展開するために、どのような工夫があるのでしょうか。
新井
このビジネスはボリューム・ディスカウントが単純には期待できません。しかし、経験やノウハウの蓄積という形でのボリューム効果を発揮できます。個別性は高いのですが、年間3,000件のリノベーションを行っていると、例えば、ある時期にある建材を使った家に共通する注意点が見えてきます。こういった経験、ノウハウの共有ために、毎週木曜日の朝、全国を繋いでミーティングを行います。このミーティングは、リスクを低減させるとともに、利益の源泉であると思っています。

在庫を滞留させない

大薗
このビジネスでは在庫回転率が重要な要素だと思います。御社では年々改善されていますが、どのような仕組みで取り組んでいるのでしょうか。
新井
大事なのは、良い物件を仕入れて良質のリフォームをすることであり、価格と質のバランスの取れた物件を販売すれば早期に売れます。また、通常、中古住宅の再生販売は、リフォームが完成した後に販売するのですが、カチタスでは、物件を仕入れた時からリフォームの計画、リフォームの状況等の情報をWebでお客様にお見せしています。これは、お客様になるべく早く現物を見に来ていただくために行っているのですが、リフォームの早い段階であれば、「壁紙や設備の色などを選べます」というサービスも可能にしています。さらにカチタスでは、一人の担当者が仕入、リフォーム、販売を全て行います。これによって、回転率を向上させるためには仕入が何より重要であることを強烈に自覚するのです。
大薗
販売経路では、Webが大きく伸びているのは何故でしょうか。
新井
Webで契約まで完結する訳ではありませんが、Webでリフォームが進んでいくのを見て内覧に来られるお客様が増えています。大事なのは、情報をこまめにアップデートすることです。Web上で刻一刻とリフォームが進んでいく状況を見ていると、お客様の中に安心感が生まれるせいか、実際に現物を見に来る時には購入をほぼ決めているケースが多くなっています。

マンションの再生をやらない

大薗
的確なリフォームがビジネスの重要な要素となっていますが、そのノウハウを生かし、マンションのリフォーム件数を大幅に伸ばす予定はないのですか。
新井
マンションのリフォームは、戸建とは全く異なります。また、当社の営業活動の中心である人口5万人程度の都市には、マンションはあまりありません。マンションリフォームは、リスクが少ないために参入障壁が低く競争が激しく粗利が小さくなっています。カチタスの存在意義がある分野に集中し、マンションはいい物件が仕入れられる場合にだけ扱うようにしています。
大薗
簡単にはできないビジネスだからこそ付加価値を出せ、真似しにくい仕組みが作れる、ということですね。
新井
一言で言うと、このビジネスは非常に手間がかかり、一つの物件から利益を出すのは簡単ではないのですが、経験の蓄積により利益を生み出せるようになることが面白いところです。
大薗
事業を通して空き家問題を解決しているのは、CSV(Creating Shared Value、共通価値の創造)の事例でもあると思います。

授賞式へ戻る

PAGETOP