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受賞企業・事業部レポート

株式会社 ガリバーインターナショナル

2006年度 第06回ポーター賞受賞 中古車販売業
中古車販売業の力点を販売から買い取りにシフトし、高価格買い取り、透明性のある値付けで顧客満足が高くかつ高収益な新しい戦略を創出した。

業界背景

中古車販売業界はこれまで、様々な難しさに直面していた。まず、中古車は生ものであり、非常に短期間で値崩れが進むため、在庫管理が重要である。これは新車の乗り換え期間が短く、中古車の供給が豊富な日本において得に顕著な傾向で、2?3週間経てばもう同じ価格がつかないと言われている。同時に、中古車は一つひとつ異なるので、手元にある在庫が店を訪れた顧客のニーズにぴったり合うのは簡単ではない。そこで、中古車販売業はなるべく沢山の在庫を手元に置き、顧客に在庫から売ろうとする。そうすることによって顧客ニーズと合致する可能性を高めるのだが、展示場所も広く必要となり土地代と人件費が費用を押し上げる結果となる。消費者に売れないと中古車販売業者は、業者間の卸市場であるオークション会場に売却する。オークション会場に売るときには、顧客に売る場合と比較して安く売らねばならないのだが、かといって在庫として持ち続ければ価値が下がってしまう。

もう一つの難しさは、顧客満足にあった。中古車は一つひとつ異なり、業者は顧客に対して圧倒的な情報優位にある。顧客はこれを不安に思う傾向があり、顧客が価格設定に納得するのは容易ではない。さらに、従来の中古車販売業は構造的に、できるだけ安く仕入れ、できるだけ高く売る志向があり、事業構造そのものが、顧客満足と一致しにくい傾向にあった。

概要

ガリバーインターナショナルは1994年創業、従来の中古車販売業者が平均2ヶ月から3ヶ月の間商品を保有するのに対して、1週間から10日間しか保有しないことを徹底し、在庫の価値が低下することを避けている。それを可能にしたのは、いかに個人への販売を成功させるかではなく、最初からオークションに売却することを前程に、買い取りに力点を置くことであった。高値で買うことによって買い取りを増やし、早く売却することによって確実に売買差益を実現する。

売却先は現在、既存のオークションに加えて、自ら運営するオンラインオークション、個人へのオンライン販売へと広がっているが、商品の在庫保有期間は同レベルで維持されており、収益性を改善する結果となっている。従来の売買差益が個人に売却することで改善したのに加えて、自ら運営するオークションでの手数料収入も加わった。さらに、ローン、保険、品質保証などのサービスを提供することで、同じ顧客に対するクロスセリングを進め、収益性を高めつつ事業の成長を続けている。

ユニークな価値提供

ガリバーインターナショナルのターゲット顧客は、中古車のオーナーである。買い取り価格の査定基準を全面的に開示し、価格の透明性と信頼を強調したブランド戦略、高価格買い取りによって、安心・信頼して高値で売却できるという価値を提供することで、これまで中古車屋に売却せず新車ディーラーに下取りに出していたような個人も顧客に取り込んだ。

価格の透明性と信頼は、中古車の販売サイドでも徹底されており、修理履歴を含め車両情報が開示される。その結果、'98年の販売開始時より累計で約15万台が一般顧客に販売されている。

独自のバリューチェーン

調達
ガリバーが買い取る中古車の60%がオーナーによる持ち込みであるが、残りの40%はオーナーを訪問する出張査定である。査定は支店の担当者が行うが、価格設定は本部で一括して行われる。本部では、全国150箇所のオークション会場で成立した直近50万件の売買の記録のデータベースが週2回更新されており、この地域ではこのモデルのこの色といった形で詳細に売れ筋の車を把握することで、他社よりも高値をつけることができる。

販売
ガリバーが中古車を売却するルートは、4つである。第一に、全国150か所のオークション会場を通じて他の中古車販売業者に売却する。陸送コストのために、多くの中古車販売業者は遠隔地のオークション会場とは取引しないが、ガリバーは売却先を増やすことで、迅速に高値で売却できる可能性を改善している。全国のオークション会場の売れ筋(車種、人気の色や付属品など)を把握した上で車を買い取り、本部でもっとも適したオークション会場を選んで迅速に出品するため、オークションにおける売買成立の確率は70%と、業界平均の50%を大きく上回っている。第二が、オークションへ売却されるまでの期間に、個人へ売却する場合。ガリバーの支店から、同社が保有する4000台の在庫がオンライン検索可能であり、写真、修理履歴、傷、へこみなど詳細な情報とともに、販売価格が明示されている。第三は、第二と同じ情報プラットフォームを使い、タイムオークション(※1)によって他の中古車販売業者に売却する場合。第四は、自社で運営する競り上がり式のリアルタイム・オンライン・オークションで他の中古車販売業者へ売却する場合。いずれのルートを経るにしても、ガリバーの在庫は7日から10日以内に売却される。

出荷物流
陸送子会社を設立し、物流を内部化している。

アフターサービス
個人への売却の1、3、6、12ヵ月後にコンタクトを取り、車の調子の確認、問題の受付、保証期間終了の案内、サービスや保証の案内などが行われる。

マーケティング
ブランドイメージを確立し、従来の中古車販売業との違いを中古車オーナーに伝えるため、ガリバーは設立当初より積極的に、TV、雑誌、インターネットなどを通じて広告をしてきた。たとえばニューヨークヤンキースの松井選手を起用したTV広告は、クリーンで明るく正直なイメージを強調している。また、同社の店舗もまた、ガラスを多用し、明るくクリーンなイメージを訴求している。これは、フランチャイズ店を含め統一されている。

(※1)タイムオークションとは、提示価格に対して一定期間内に最も早く入札した者と売買が成立するしくみ。

活動間のフィット

ガリバーの活動は、よい車を沢山仕入れること、それを早く売却することを中心に組み上げられている。よい車を沢山仕入れるためには、買い取り価格に魅力がなければならないので、高額買い取りをしたいが、それには個別の車の価値を分析し売却時の可能性を把握する能力が必要である。また、中古車を売却するオーナーが気持ちよく売却できるプロセスと環境も重要である。そのために、情報開示による透明性の確保、査定担当者と値付け担当者を支店と本部に分けることによる信頼性の確保、 ブランドイメージ確立への積極投資が行われている。

次に、迅速に売却するために、複数の売却ルートを用意し、しかしこれらが在庫期間の延長につながらないような運営を徹底している。(次ページ「ガリバーインターナショナルの活動システム・マップ」を参照ください。)

戦略を可能にしたイノベーション

  • 在庫を長く持たない「買い取り専門」という戦略的ポジショニング
  • 価格設定活動の本部集中化と透明性の高い値付け
  • 業界で初めて顧客に対して適性価格と車両コンディションの開示を行った
  • 業界で初めて一般消費者向けの画像のみによる中古車販売システムを立ち上げた
  • 業界で初めてリアルタイムの中古車ディーラー向けインターネットオークションを立ち上げた
  • 業界で初めて中古車の3年後の売却価値との差額を対象にローンを組む保証タイプの残価設定型ローンを提供(条件内なら3年後の買取り価値を保証するというもの)

戦略の一貫性

1994年の創業時より、一般消費者から中古車両を買い取り、定常的な需要のあるオークション市場(業者間取引市場)にて全車両を売却する「買い取り専門」事業を確立した。以後、売却先は個人、自社運営のオークションによる業者への売却と広がったが、「買い取り専門」事業の核概念である在庫期間の短縮は維持されている。自動車ローン、保証サービス、陸送サービスなどの付加的サービスも、既存の核概念を壊すことなく、クロスセルと、より充実したサービスを可能にしている。

トレードオフ

  • 在庫を一定期間以上持たない(超えたものは中古車オークションへ売却)
  • 実車の展示販売をしない
  • 店舗で価格設定しない、オークション出品手続きをしない
  • 加盟店募集の際に業界経験者を採用しない

収益性

投下資本利益率、営業利益率ともに、中古車販売業界の平均(中央値)を一貫して大幅に上回っている。

投下資本利益率(ROIC)   (単位:%P=パーセンテージ・ポイント)
5年間平均 単年度 業界平均との差異
業界平均との差異 2005年 2004年 2003年 2002年 2001年
60.1%P 44.6%P 66.7%P 48.8%P 55.4%P 62.5%P
投下資本利益率=営業利益/平均投下資本

営業利益率(ROS)   (単位:%P=パーセンテージ・ポイント)
5年間平均 単年度 業界平均との差異
業界平均との差異 2005年 2004年 2003年 2002年 2001年
2.8%P 6.0%P 4.1%P 2.9%P 2.7%P 0.4%P
営業利益率=営業利益/売上高

活動システム・マップ

受賞企業・事業部 PDF

第17回 ポーター賞 応募期間

2017年5月 8日(月)〜 6月 5日(月)
上記応募期間中に応募用紙をお送りください。
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