受賞式・カンファレンス

基調講演

ハーバード大学 ユニバーシティ・プロフェッサー
マイケル・E・ポーター教授

"スマート・コネクティッド・プロダクツの競争戦略と企業へのインパクト"

基調講演 ハーバード大学 ユニバーシティ・プロフェッサー マイケル・E・ポーター教授 IoTという言葉がよく使われますが、インターネットはパイプラインでしかなく、重要なのは変化したモノ、即ち、スマート・コネクティッド・プロダクツ(SCP Smart, Connected Products)なのです。スマート・コネクティッド・プロダクツ(SCP)は、製造業だけでなく、サービス業を含む全ての業界を変えます。

IT革命の第3世代
ITによる第一の変革では、企業内プロセスにITが導入され、企業内のバリューチェーンが自動化されました。
第二の変革はインターネットの安い接続性によってバリューチェーンが様々な地域に分散し、また、供給業者、顧客と統合されました。生産性は大幅に向上しましたが、バリューチェーンは大きくは変わりませんでした。
SCPは第三の変革で、ITが製品の一部分となり、製品はシステムの一部となりました。そして、SCPは業界の境界を変え、これまで別々だった業界も一体として考えなければならなくなっています。製品や企業の定義を変える点で前の2つの変革とは異なるのです。

SCPの4つの能力
SCPにより可能になることは4つあり、これら4つにより製品価値が大きく高められます。
モニタリング:製品の位置、状態が常に分かり、顧客との関係は、販売後も続きます。
コントロール:ソフトウェアで遠隔操作ができ、コストをかけずに製品をパーソナライズできます。
最適化   :環境や状態に合わせて最適化でき、生産性が大幅に改善します。
自律性   :ある機能だけ、または製品そのものが自律的な場合もあります。

人の役割
人は非常に高い能力を持ち、柔軟で創造性があり、感情もあります。人の強みを生かすには、モノとデジタルと人をつなぐ、マシン・ヒューマン・インターファイスが重要です。SCPを人間の強みと合わせれば、大きな効果が得られます。それには拡張現実(AR、Augmented Reality)などのインターフェイスが大事になります

SCPは競争戦略にどのような変化をもたらすのか
SCPにより可能になる価値提供は何でしょうか。これまでの流通チャネルは変えなくてよいのでしょうか、そもそも必要なのでしょうか。例えばテスラモーターズは、差別化が難しい業界でSCPを活かして新しい価値を生み、バリューチェーンを変えました。
しかし、SCPは機会だけでなく、脅威ももたらします。異質な競合が現れる可能性があり、所有から共有への移行は多くの業界で進んでいます。SCPは、機会も脅威も生みだします。
戦略上重要な選択は、事業のスコープです。広げるか、これまでの強みに留まりつつ他と繋がりやすくするか。バリューチェーン、特に、製品開発とアフターセールスサービスは完全に変わるでしょう。
SCPは、生産性、安全性を改善し、環境負荷を減らすことで、社会に貢献します。低スキルワーカーもデータとオンサイト指導によって高付加価値な仕事ができるようになる可能性もあります。私は脅威より機会の方が大きいと考えています。
SCPの生む機会を捉え、技術を早く活用しようと動かなければ将来は危ういと思います。百年に一度の機会です。

※ この内容は2016年12月24日付 日本経済新聞掲載の広告を基に構成しています。

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第24回 ポーター賞 応募期間

2024年5月 7日(火)〜 6月 3日(月)
上記応募期間中に応募用紙をお送りください。
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