受賞式・カンファレンス

基調講演<要約>

マイケル・ポーター

マイケル・ポーターです。ハーバード大学からご挨拶しています。今年はポーター賞20周年ですが、日本に行けずに残念です。

この賞は、日本経済の活性化、日本の産業界の競争力の強化のために、多くの貢献をしています。
20周年を迎え、主催者である一橋ICS、協賛企業、審査をサポートしている皆様、そして、古い友人である竹内弘高教授に感謝します。

竹内先生と一緒に書いた『日本の競争戦略』という本が、ポーター賞のきっかけとなりました。
ご存知のように、TQMやトヨタ生産方式を発明したのは日本企業であり、TQMは日本企業の競争力を何年にもわたって支えましたが、既にキャッチアップされました。もう、日本企業は品質だけで戦う事はできません。品質で競争するだけでなく、イノベーションを起こし、明確な戦略を持つことによってのみ競争は可能です。

ポーター賞はそういった刺激を与えるために創設され、イノベーションや戦略による競争をしているかを審査しています。今年も素晴らしい企業が受賞しました。
ミルボン、楽天銀行、トリドールの丸亀製麺、ヤッホーブルーイング。それぞれの業界でユニークなやり方で競争しています。これらの企業は全て、伝統的なTQMモデルから脱却しました。イノベーションに成功し、競争環境に合致し、また、自ら作り替えた企業です。

これまで、企業の成果はまず株主価値でした。もちろん、今でも、資本を効率的に使い、利益を生む必要があります。しかし、利益だけでは十分ではありません。
いま最も強力な競争の仕方は、パーパスによる競争をする事です。本当に意味のあるパーパスとは、社会的な問題、社会的ニ―ズ、社会的格差の解決です。フィランソロピーや単なる親切ではなく、競争優位を創り出すのです。企業は、エネルギー効率を高め、排気を最小化できれば、温暖化対策の費用を削減し競争力を強化できます。様々な分野にある社会的課題を解決できれば、新しい競争の軸で優位に立ち、利益も増やすことができます。

今日、消費者は、自分が買う商品やサービスが社会に対し影響を与えられると考えています。人々は、問題を悪化させるものよりも、本当に良いものを買いたいと思っています。自分が買う洋服の環境への影響、健康に良い食品、栄養を重要だと思っています。こういった消費者の変化が、企業が競争の仕方を変えるよう促しています。社会へのエンゲージメント、社会への責任に対するコミットメント、人々に影響がある問題や生活の質を悪化させる問題を解決する。これは事業機会であり、企業が発展するためには必須です。

ポーター賞が今後も大きなインパクトを持ち続けると期待しています。
新しくユニークな方法で競争している企業を選び、そういった企業を称える事、企業が競争の仕方を変える動機づけをする事で、今後何年も、企業を鼓舞し、イノベーションを起こす力となる事を祈ります。
これからも素晴らしい競争戦略とイノベーションが生まれる事を楽しみにしています。
来年はそちらに行けたら嬉しく思います。

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