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受賞企業・事業レポート

株式会社プロシップ

2017年度 第17回ポーター賞受賞 固定資産管理用パッケージソフトウエアの開発販売業

固定資産管理用パッケージソフト市場を創造し、その後も、高度な固定資産管理が求められる大企業を中心に市場をけん引するリーダー。導入から保守まで手掛けることで、パッケージソフトをコアとしながらも、ユーザー中心の使い勝手を実現。

img_2017_03_p.jpg固定資産管理用ソフトウエアは、財務会計、納税、経営管理などに使用される。財務会計は、J-GAAP やIFRSなどの制度会計の変更の影響を受けるが、J-GAAPでは2005年の減損会計の導入、2008年の新リース会計の導入、2010年の資産除去債務会計、2011年のプロスペクティブ償却など、頻繁に変更が行われている。今後はIFRSに移行する企業はこれへの対応も必要となる。納税は、国税と地方税の変更に影響されるが、こちらも、国税(法人税)においては2007年の残存価格の撤廃、減価償却のルールの変更(2007年から12年は250%の定率法、2012年以降は200%の定率法)、地方税(償却資産税)においては地方税ポータルシステム(eLTAX)への対応などが求められてきた。最後に、管理会計においても、2014年の伊藤レポートとスチュワードシップ・コード、2015年のコーポレートガバナンス・コードなどにより、総資産利益率(ROA)分析の重視や財務報告の一層の透明性が求められるようになってきた。加えて、税効果会計のように、税制の変更が財務会計報告に影響を及ぼすこともあり、複数分野の間の相互の影響を把握しソフトウェアに反映させる必要がある。これらの各種制度変更の導入に間に合うようにソフトウェアを変更し、また、ERPなどの経営管理システムとの接合性を維持するのは容易ではない。

プロシップは、累計で4500社を超える日本企業を顧客に持つ、固定資産管理用ソフトウェアのリーダー。

ユニークな価値提供

プロシップは、大手企業をターゲットに固定資産管理業務に特化したパッケージ・ソフトウエアを自社開発し、顧客企業へ導入サービスとともに提供している。数の上で圧倒的に多い中小企業はターゲット顧客とせず、ソフトウェアが対象とする業務範囲も固定資産管理から離れない。

多くの企業にとって固定資産管理とは、直接的に売上を伸ばす効果があるわけではない。企業の収入に直結しないという意味で地味な存在だが、先に述べたような制度変更への対応が求められるため、専門性が必要でかつ、それに対応したソフトウェアの開発には多大な手間と費用がかかる、難しい問題である。

市場規模からみた場合、固定資産管理ソフトウェアの市場規模はERPなどと比較して非常に小さい。固定資産管理ソフトだけでは事業が成立しないと考えるのがソフトウェア業界の一般的な見方だ。同時に、高度な専門性と頻繁な改変が求められるため、これらが参入障壁になっている。

プロシップが選択したターゲット顧客は、上場企業を中心とした大手企業及びそのクループ企業群だ。これらの企業は、企業規模が大きくなるにつれて多くの固定資産を保有することになり、これに比例する形で業務上の課題を多く抱える傾向が強くなったり、高度な知識を要するサービスへのニーズが強くなる。第二に、これらの企業は支払い能力が高く、高い専門性による高付加価値サービスに十分な対価を支払うことができる。一方、圧倒的多数である中小企業にとってプロシップの製品は、価格が高く過剰品質と評価される。

上場企業を中心とした大手企業及びそのクループ企業群に対してプロシップは、多様な事業や海外の子会社を含め、一つのソフトウェアで固定資産管理を可能にしている。近年顕著な連結決算の早期化や内部統制強化を背景に、グループ企業全体で統一されたシステムを利用する必要性が高まっており、プロシップはこれに応えることができる。プロシップの製品は24ヶ国の税務で求められる償却計算に標準機能で対応しており、日本企業の現地法人を中心に、17か国113法人で導入されている(2017年4月末)。金融業界、医療業界、自動車業界など、業種別に仕様の異なる複数のパッケージ製品(業種別テンプレートなどと呼ばれる)を開発することで市場カバレッジを広げているソフトウェアでは、プロシップのような統合的なサービスは提供できない。

プロシップのソフトウェアはパッケージ製品でありながら、制度変更に対応した頻繁な改変が行われ、また、導入企業に合わせたカスタマイズが提供される。つまり、顧客企業は、大手企業に共通のニーズに対応するサービスをパッケージ・ソフトウエアとして効率的に入手し、かつ、変化への即応性と個別対応も享受することができる。これは、広範な業務範囲をカバーするERPパッケージの部分としての固定資産管理ソフトウェアには大変難しいことである。プロシップは、顧客企業が所有するハードウェア(サーバーやネットワーク設備)にパッケージ製品をインストールするオンプレミス型と、クラウド上にアプリケーションを配置してインターネットを経由して利用してもらうクラウド型のいずれも提供している。

プロシップは、顧客からライセンスや導入サービスの対価を得るが、一般的に行われている、ユーザー数に対して課金するのに加えて、固定資産の件数に対して料金が課されるため、多くの固定資産を持つ大企業ほど料金が高くなる。同時に、導入後には必ず顧客と保守契約を締結する。そうすることで新規開拓した顧客との取引を全てストックビジネスへと転換させる。さらに、きめ細かな保守サービスによって、制度会計や税制などの「変化への即応性」を維持することで、長く使い続ける価値を顧客に提供している。結果として、あらゆる業界のリーディンング・カンパニーがプロシップのパッケージ製品を利用しており、この優良顧客の先端的なニーズがプロシップの経営資源となって、プロシップのソフトウェア開発を促進し、競争業者が追いつくことの難しい高い専門性の獲得と維持に繋がっている。

独自のバリューチェーン

プロシップは、固定資産管理に業務特化することで激しいニーズの変化に競争業者のどこよりも早く、きめ細かく対応し、顧客企業にとっての「変化への即応性」を維持することで、長く使い続ける価値を提供している。この価値提供を支えるバリューチェーンの特徴は、製品開発から導入サービス、保守サービスを一気通貫に自社で提供していることだ。ソフトウェア業界では、作業を切り出して下請け業者を活用することも多い中、全ての活動を内部化することは、時にはコスト増につながる。しかし、これらの活動を内部化することで、プロシップは、市場から収集したニーズがタイムリーに製品・サービスに反映されるフィードバック・ループを作り出している。

マーケティング(最新市場ニーズや制度改正に関する情報の収集)
プロシップの顧客基盤には、各業種・業界を代表するリーディング・カンパニーが多数含まれているが、中でも、固定資産管理に多くの拘りや高度なニーズを持った企業が多い。プロシップは、あらゆる顧客接点を通じて、業務要件、システム要件、国内外の制度改正動向など、顧客ニーズを収集する。顧客企業も、プロシップにニーズを伝えることは、それがやがて標準機能や標準サービスに組み込まれ、自社に便益として返ってくるという期待がある。また、自社のニーズや業務ノウハウが他社の業務改善に役立つことを歓迎する、リーディング・カンパニーとしての行動をとる傾向があり、積極的に情報発信を行う。このようなリーディング・カンパニーからのインプットは、競争業者には決してアクセスできない情報であり、プロシップの専門性の強化につながっている。顧客ニーズの把握と対応については、定型的な活動と機動的な活動の2つのルートで行われる。定型的な活動としては、通常の業務を通じて収集される情報に加え、数社をサンプリングしたうえでの訪問ヒアリング、ダイレクトメールによる動向調査によって把握したニーズは、年に3?5回実施するユーザー会でのアンケート調査によって確認し、製品開発に繋げている。機動的な活動としては、導入サービスや保守サービスを通じて同様な顧客ニーズが3件以上確認された場合には、社長や担当取締役を含む検討会議が招集され、その後の製品やサービスへ反映させるための判断が迅速に行われる。

製品開発
優れたパッケージ製品は、専門的な業務ノウハウに支えられていることはもちろん、拡張性や保守性を備えた製品設計が不可欠である。プロシップは、40年以上にわたるパッケージ製品開発の経験から、独自の製品開発プロセス、製品フレームワークなどを有している。業務機能の充実に加え、導入サービスにおいて重要な冗長設計、保守サービスに必要なログ情報を収集する仕組みなど、製品開発から導入サービス、保守サービスまで内部化しているからこそ知りうる仕組みや仕掛けを、予め作り込んでいる。
プロシップは、最新技術を取り入れることよりも、枯れた技術を採用することを選んでおり、その結果、製品品質を安定させやすく、必要な技術を習得している人材(中途採用、パートナー技術者)も集めやすい。
制度改正や機能強化を目的とした製品のバージョンアップを年に3?5回程度、行なっている。製品開発は、仕様の決定や優先順位決めも含め、プロシップ本社の専門組織で行なう。その結果、たとえば、インドネシア税制(定率法の考え方)とマレーシア税制(特別償却の考え方)の仕様を合わせると、香港の税制にほとんど追加の開発費用を要せず対応できるなど、多様な知見を活かすことができる。多くのソフトウェア開発企業がしているように、仕様の決定も含めてそれぞれの国でローカライズする方式では、このような知見の活用は難しい。

導入サービス
プロシップの顧客は大手企業が中心で、固定資産管理業務や情報システムに対して高度で複雑な要求を有する。顧客企業の80%はプロシップの製品をほぼそのままの形で利用するが、20%からはカスタマイズ開発が求められる。こうした要求に適切に応えるために、業務、システム、製品仕様(拡張性)を熟知したスタッフが導入サービスを担当する。カスタマイズ開発の開発費は顧客企業が負担するが、カスタマイズ開発したプログラムの著作権はすべてがプロシップに帰属(留保)する契約を締結する。これによって、カスタマイズ開発によって得たノウハウは、将来の製品開発に活用することができる。事前の契約アセスメントで著作権についての合意が得られない場合にはプロジェクトを受注しない。業界では、カスタマイズ開発した著作権はパッケージのメーカーには残らず、中間業者または顧客企業に移転(譲渡)される場合が多い。
導入サービスの品質を均一化させるために、導入作業の工程ごとに成果物の細かな規定(ドキュメント標準、コーディング基準、テスト結果のエビデンスなど)や管理基準を定めており、すべての導入プロジェクトはこの導入メソッドに従って実行される。これらを順守することが、保守サービスを主管するサポート部門へプロジェクトを移管するための厳格な引き継ぎ基準にもなっている。導入サービス終了時のデータが導入メソッドに基づいて記録保持されていることによって、後に述べる保守サービスにおける問い合わせ対応の効率化に大きく貢献している。導入メソッドは業務品質を確保するだけでなく、人材育成にも貢献している。導入メソッドが確立しているため、プロシップでは入社3年目の社員がプロジェクト・リーダーとして責任ある職務を遂行することができる。業界では入社後5年はかかると言われている。導入メソッドは、必要に応じて改定される。

セールス
プロシップの営業は、媒体広告やセミナーなどからの引き合いに対して営業をかける反響営業のスタイルをとっている。早い段階で実機を使ったデモンストレーションを実演しながら詳細な製品説明を行ない、ニーズに対するパッケージ製品の適合性を判断し、必要に応じてカスタマイズとしての追加開発を含む提案も行なう。業界では、営業に同行する開発部門の技術者が製品の詳細説明や提案説明を行うことが多いが、プロシップでは、多くの場合で営業がデモンストレーションから提案説明まで行なう。営業が高度な質問にも即答でき、豊富な他社事例を語ることで専門性の高さを際立たせ、「専門性の高い会社」というイメージをブランディングしている。

保守サービス
保守サービスは、システムの導入完了後、システムが安定的に運用されるために行われる顧客支援で、問い合わせ対応、制度改正などに伴うバージョンアップ対応、利用情報分析がある。
問い合わせ対応では、過去の質問と回答をデータベース化し、また、顧客対応の進捗管理をシステム化しており、一次回答が1時間以内に完了する割合が99.7%。業界では製品に関する問い合わせはパッケージのメーカーが担当し、カスタマイズ開発した部分は導入を実施した中間業者が担当するなど、問題の解決までに時間が掛かることもあるが、プロシップは、パッケージ製品、カスタマイズ開発した機能部分ともに、顧客別に世代管理しており、問い合わせに迅速に対応できる体制を構築している。
制度改正に伴うバージョンアップ対応では、常に他社に先駆けて最新モジュールをリリースし続けている。
利用情報分析は、保守サービスでの活用を目的としたアクセスログや操作ログなどのデータを記録する機能がプロシップの製品にあり、これらを統計的に分析活用することで、顧客企業が気付いていない、より良いシステムの利用提案を行う。顧客からの要望を待つのでなく、積極的に提案型保守サービスを展開し、パッケージ製品の利用の経験価値を向上している。

購買・調達
制度改正前に導入プロジェクトが集中する傾向があるなど、業務量には繁閑の差が生じる。プロシップの導入プロジェクトは、社員技術者を中心にして、ビジネスパートナーの技術者が一部の役割で参画する。繁忙期には技術者のパートナーが最大で4割を超えることもあり、パートナー企業の技術者の質を担保するため、プロシップの戦略に共感していて、自らも高い専門性を身に付け、プロジェクトの中で自社の強みを発揮することに重きを置くパートナー企業を選び、パートナー企業は社内でチーム(リーダーと数名のメンバーで構成)を組んで参画する。チームとして機能することでパフォーマンスの向上が期待でき、同時に、ベテランと若手の起用でコストも低減される。結果的には、ビジネスパートナーとは10年?20年以上の継続取引となっている。

人的資源管理
プロシップは、自社開発のパッケージ製品を直販しているため、実力次第でプロジェクトの上流工程に参画できる環境が整っており、キャリアの初期から様々な業界の大手企業へのシステム導入を経験でき、速く成長できるステージが用意されている。
経営方針や戦略を共有し、適度な緊張感を保ちながら切磋琢磨することで、成長と貢献を実感できる競争環境を社内に実現することを目指して組織運営をしている。その一環として、活躍する人材が適切に評価・優遇される実力貢献主義の人事制度を持ち、社長から一般社員まで全ての社員は1年任期制である。適材適所の配置で、毎年どこかの部署で上司と部下が入れ替わるような人事異動が行われている。
優秀な人材がやりがいをもって活躍し続けられるよう、階層別教育や社内勉強会、専門職制、社長による個人面談、定時退社日の推進、月間MVPや年間のプロジェクト賞などの個人やチームの表彰制度、スキル標準や実務標準による生産性向上への取り組みなどを行っている。

全般管理
全社の業績目標に紐づけて現場のオペレーションを効率化するための重要な管理指標として、ライセンス売上、保守売上、プロジェクト原価率などに注目している。適切なタイミングで現場の管理指標を共有し、マネジメント・サイクルを廻す。

活動間のフィット

プロシップにとって最も優先順位の高い戦略的テーマは、「固定資産管理の業務領域で高い専門性を発揮」し続けることにある。これは、ターゲットである「大手企業の高度な要求に応える」ことと、「製品開発から導入・保守まで一気通貫でサービスを提供する」ことによって強化される。これらが、3つのコアとなる戦略上の選択を形成している。

「固定資産で高い専門性を発揮する」ためにプロシップが第一に選択した事は、「EPRソフトを手掛けない」ことであった。プロシップの専門性の高さや制度改正への機敏な対応は、固定資産管理に特化しているからこそ、組織全体のプロセスが最適化し、可能になっている。ERPソフトのように広範な業務をカバーするパッケージ・ソフトの開発は、統合性の確保に多くの注意と工数が払われ、最適な組織とプロセスは、プロシップのものとは大幅に異なる。「固定資産で高い専門性を発揮する」ためにプロシップが行っている活動の一つは、「制度改正が実施された場合には、業界内のどの競争業者よりも早いタイミングで新しい制度に対応した製品機能をリリースすること」だ。そのために、「本社に一元化した開発」「あらゆる顧客接点での情報収集」が行われている。「専門性の発揮」の源泉は、専門知識を有した人材であり、それを支える「若手技術者の早期育成」「実績貢献主義・適材適所・全役職の1年任期制」などの人事制度があり、その結果、「業務と技術に詳しい社員」が育成される。

「大手企業の高度な要求に応える」ために行われていることは、「変化への即応性を維持する」ことだ。これには、「あらゆる顧客接点での情報収集」と、「製品開発から導入保守まで一気通貫で価値提供」「高度なカスタマイズ開発」「標準システム、サービスの頻繁な更新」が貢献している。大手企業をターゲットにすることは、資金力やIT投資に対する積極性の観点から継続した収益が見込まれるほか、業界のリーディング・カンパニーが採用した製品ということで新規顧客獲得への効果が得られる。

「製品開発から導入保守まで一気通貫で価値提供」することで、「あらゆる顧客接点での情報収集」と「変化への即応性を維持する」ことができ、「固定資産で高い専門性を発揮する」「大手企業の高度な要求に応える」ことが可能になる。「製品開発から導入保守まで一気通貫で価値提供」は、「高度なカスタマイズ開発」、それを標準パッケージに展開することを可能にする「プログラムの著作権維持」、「提案型保守」によって実行されており、「導入から保守まで一気通貫の担当者」「本社に一元化した開発」「長期的関係にあるパートナー企業」がそれを支えている。(本セクション最後に掲載した「株式会社プロシップの活動システム・マップ」を参照ください。)

戦略を可能にしたイノベーション

  • 大手企業向け固定資産システムへのフォーカス。会計システムの一部に包含されると理解されがちな固定資産システムを、市場ニーズの変化のスピードが異なるという点で識別し、隣接する周辺システムとは独立性を保った位置づけで、固定資産システムに専門特化した。
  • 世界で唯一のグローバルで統一利用のできる固定資産システム。会計システムや生産管理システムはグローバルで統一したシステムを利用しているケースが多いが、固定資産システムについてはほぼすべての企業で現地パッケージを個別に導入していた。理由は、「国によって異なる税法があるためシステムを統一できない」ことであった。プロシップが既存顧客や日本のグローバル企業にとって重要な国や地域という基準で24か国を選択し、24か国の税法に対応した機能を開発した。
  • 独自の導入メソッド(様々なテンプレートとノウハウの集合体)。毎年数百件のプロジェクトがこの導入メソッドに基づき実行され、必要に応じて定期的に見直されている。これによりプロジェクト・リーダーに若手社員を起用することができ、人材の早期の即戦化と同時に安定的なプロジェクト運営が実現できる。
  • 固定資産システムならではの価格体系。プロシップのパッケージ・ソフトの価格体系は、業界でも一般的になっているユーザ数単位の課金に加えて、企業が保有する固定資産件数によって課金する価格体系を採用している。これは業界の中でもプロシップだけの価格体系。

トレードオフ

  • ERPパッケージのような統合型ソフトウェアは手掛けない。
  • 中小企業をターゲット顧客としない。
  • 導入サービスを中間業者に委託しない。

戦略の一貫性

1980年、プロシップは総合固定資産パッケージ・ソフト、「FASPAC-?」をリリースし、固定資産システムの市場開拓を開始した。この時から、固定資産管理のためのパッケージ・ソフトを自社開発し、大手企業をターゲットに直販するという戦略の原型があった。

この戦略の原型が形成される背景だが、プロシップは1969年、コンサルティング企業として創業した。コンサルティングの主要テーマが企業経営の電算化に向かう中で、1971年からシステムの受託開発を始めたが、IT先進国の米国でパッケージ・ソフトが普及するのを見て、1978年に同社初めてのパッケージ・ソフトをリリースした。これは会計システムであり、会計、資金、固定資産システムのラインアップを組むことを計画していたが、2年遅れて1981年に導入した固定資産パッケージ・ソフトが市場で受け入れられた。受託開発が主流でパッケージ・ソフトがまだ市場に受け入れられていない中、税法基準に合致した業務処理という点においては企業間の差は小さく、汎用品であるパッケージ・ソフトで対応できる、との認識を引き出すことができたからであった。固定資産ソフトが最も売れる商品となったことによって、プロシップは資源配分を固定資産管理ソフトに傾斜させていった。

大企業をメインターゲットとしたのは、1980年代に数億円?数十億円もする大型汎用機を所持できたのは、大企業だったからだ。プロシップに限らず、1980年代は、多くのソフトウェア開発企業が大企業をターゲットとした。しかし、1990年代、ソフトウェア業界においてハードウェアのダウンサイジングや技術のオープン化が進み、中堅・中小企業にパッケージ・ソフトの市場が形成されると、業界の関心は中堅・中小企業へと移った。そのような中、プロシップは大手企業をターゲット顧客とする選択を「変えない」という判断を繰り返し行ってきた。

1995年、プロシップは新ブランドとして「ProPlus」を立ち上げ、現在の主力製品の初版となる「ProPlus固定資産システム」をリリースした。この時、業界の他の企業がしたように、プロシップも大型汎用機からパソコンベースの技術へと、大きなスキルチェンジをした。この頃になるとパッケージ・ソフトを開発する競合他社が急激に増加するとともに、パッケージ・ソフトに対する市場の認知も高まった。ProPlusの導入実績が300社を超えた頃、業界で「緩やかな連携」や「握手しながら喧嘩する」などの言葉がささやかれる中、競争業者から協業の可能性について話をしたいとのオファーを受けるようになった。しかし、プロシップは開発から導入、保守まで自社で行う方針を貫き、競争業者との協業はしない選択を続けた。

2000年を前に、SAPやOracleなど、海外のERPパッケージが日本の大手企業に次々と採用するようになった。同時に、固定資産管理において日本企業のニーズに合わないことが顕在化すると、プロシップは複数の海外パッケージベンダーから協業のオファーを受けるようになった。その中で、プロシップは、日本オラクル社と提携し、彼らのERPパッケージとの標準インターフェース機能を用意することで、日本オラクルがプロシップの製品を自らの顧客に紹介できるスキームを構築した。このスキームでも、プロシップのブランドで顧客と直接ライセンス契約を締結し、プロシップが導入サービスを行うという戦略のコアを貫いた。日本オラクルとは、ともにメインターゲットが大手企業であるという戦略の一致によって一定の成果を得た。その後も同様なスキームで幾つかの主要ERPパッケージベンダーと提携を行い、これによってプロシップの固定資産システムは、顧客が選んだどんな会計システムともスムーズに連携できるようなった。

2005年以降、固定資産領域で大きな制度改正が繰り返されるようになると、プロシップに様々な提案が寄せられた。大手システムインテグレーターがプロシップの製品開発力を求めて、新たに開発するERPソフトに固定資産ソフトをOEM供給することを求められたり、大手コンサルティング会社から資本提携を視野に入れた販路提供の提案があり、また、中堅・中小企業をメインターゲットとするパッケージベンダーがプロシップの大手企業からなる顧客基盤を求めて、互いの顧客を紹介し合うことで同社が大企業市場へ参入し、プロシップが中小企業市場に参入するスキームを提案してきた。プロシップはこれらの提案のいずれも受け入れる事はなかった。

「大手企業」と「固定資産」に焦点を合わせ、「直販」を通じて得られる高い専門性を「自社の製品やサービス」に反映するというプロシップの戦略は、現在まで一貫している。

収益性

投下資本利益率、営業利益率ともに5年間の業界平均を大幅に上回っている。(業界平均との収益性比較は、PwC Japanグループの協力を得ている。)
収益性

株式会社プロシップの活動システム・マップ

活動システム・マップ

受賞企業・事業部 PDF

第18回 ポーター賞 応募期間

2018年5月 7日(月)〜 6月 4日(月)
上記応募期間中に応募用紙をお送りください。
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