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2024/10/09 お知らせ

2024年度 ポーター賞受賞企業・事業の発表

2024年度ポーター賞は、次の4企業・事業に決定しました。
コメントは受賞理由の要約です。


株式会社アドバンテスト

株式会社アドバンテストは、半導体・部品テストシステムとテスト・ハンドラ等のメカトロニクス関連製品の製造・販売、研究開発・保守・サービス等を行なう、半導体テスト市場におけるグローバルリーダーです。同社は特にハイエンド領域において、より顧客価値の高いソリューションを競合より多く販売していますが、それは主に以下の強みに支えられています。まず、試験装置の進化。そのためには継続的な研究開発が必要ですが、同社はスタートアップを含め、先端技術に挑戦する半導体企業と初期段階から関係性を構築しています。また、装置のモジュール化とプラットフォーム化を進め、複雑性を統制しながら拡張可能性と互換性を確保し、カスタマイズ対応と顧客による継続的なソリューション採用を実現しています。次に、グローバルな対応、あるいは、水平分業した顧客各層への対応。これは、クロスボーダーM&A後の統合を含め、過去から整備され続けている地域・部門横断的な協調体制が支えています。さらに、テスト精度を高めまた顧客のテスト効率を改善する、半導体試験装置に周辺機器を統合したテストセルとしてのワンストップ・テスト・ソリューションの提供力もまた、同社の強みとなっています。

先端研究などの長期投資の一方で、同社は、製品別限界利益率管理と事業部のROIC 管理を導入しており、一部事業の撤退にも至っています。また、判断と執行のスピードのために、海外子会社トップの現地化と権限移譲、社内機能のグローバル・チーム化、経営会議の多国籍化を進めています。


ヒューリック株式会社

ヒューリック株式会社は、不動産事業を営み、東京、とりわけ都心5区の駅から5分以内の中規模ビルへの事業領域の絞り込みを特徴としています。中規模ビルの借り手は主に中堅中小企業であり、顧客層の厚さと好立地の結果、同社ビルの空室率は安定して低く、リーマンショック時、コロナ禍においても業界を大きく下回りました。同社は中規模ビルではあまり行われない高水準の環境性能および、建築基準法が定める水準の1.25倍の耐震基準を独自に設定するなど災害対応性能を付加しており、これも同社ビルの競争力につながっています。

重点領域において良い資産ポートフォリオを構築するために、同社はスピードを重視しています。わかりやすい戦略と明確な意思決定基準を、プロ人材から構成される少人数組織(単体222名、2023年12月末)が共有する事で、素早い投資判断が可能になっています。

同社の投資判断の指標の一つが、一人当たりの生産性です。これを高く維持するため、仲介・施設管理・施設運営などの周辺事業を極力小さくしています。また、BtoB事業に特化しており、分譲マンション事業を手掛けていません。もう一つの指標が、人口動態の変化がもたらす大きな変化です。駅に近いオフィスビルは同社の集中戦略の中心でしたが、東京の都心部に近い立地の物流センターなど、新しい種類の資産への投資が始められています。


株式会社ISOWA

株式会社 ISOWA は、段ボール製造機械の開発・設計・製造・販売・メンテナンスに特化した企業です。同社は段ボールシートの製造機械、段ボール箱の製造機械の二つの大きな分野の、特に小ロット高速対応機のセグメントにおいて、幅広い品ぞろえと多くの特許技術を有するリーダー企業です。

その戦略面における特長は、予防的計画的保守サービスにあります。「壊れるまで使う、壊れたら直す」がまだまだ多い業界で、機械の突然停止、長時間停止による損失と予防的保守の価値を顧客に伝え、定期的な部品交換を超えて、顧客の製造ラインを止めないための提案を行い、料金体系も平日であっても緊急対応を高額に、しかし週末の計画的保守は安価になるように変更し、計画的保守サービスの利用顧客を増やし、保守サービスの収益化に成功しました。保守サービスの顧客満足度が改善する事は、新しい機械の販売にもつながります。

サービスにおける顧客満足度は担当者の質に大きく依存しますが、ISOWA は予防的計画的保守サービスへの注力に先行して風土改革を行っています。2006 年に『自分と自分の愛する家族の幸せのために働ける世界一社風のいい会社をつくろう』という経営理念を設定し、自ら主体的にお客様を満足させたいと考え行動できる風土を形成しました。自社の戦略の自分なりの表現や、問題を自らつくり出すなどの習慣を定着させ、「公明正大」を基盤となる価値基準として共有する仲間からなる組織を作っています。


株式会社ジャパネットホールディングス

ジャパネットグループの通信販売事業は、電化製品を中心に、水の定期配送サービスや食品の頒布会、クルーズ旅行といったサービス系商品を販売しています。販売を目的とした店舗はありません。良い買い物がしたいというニーズを持ちながらも、自分で商品を調べたり、比較検討したりするのが面倒という顧客の満足度は高く、リピーター客を多く獲得しています。

その特長は、第一に、顧客に代わり良い商品を選ぶ選定力。各商品セグメントの品ぞろえは、家電量販店よりも少なく、ジャパネットが良いと考える商品を選んだ結果です。自らを律するために、取扱商品数の上限を設定し、品数を絞ることにより、求めやすい価格も実現しています。第二に、多様な生活様式の顧客が全国どこにいても商品情報が得られるためのテレビ・ラジオ・カタログ・チラシ・DM・インターネットなどの多層的なコミュニケーション・チャネル。これらチャネルで圧倒的に多い放送・出稿量によって顧客との接点を増やし、また、放送の制作などを内部化する事によって機動性を実現します。第三に、対面販売のような安心感。商品説明を社員が行うだけでなく、購入後の操作方法の質問や故障相談、修理依頼などにも対応します。第四に、家にいながら全てが完結する利便性。たとえば、スマートフォンの回線契約は、専門スタッフが顧客宅を訪問して手続きを行うなど、通常の通信販売の範疇を超えたサービスを提供します。

第25回 ポーター賞 応募期間

2025年5月 7日(水)〜 6月 3日(火)
上記応募期間中に応募用紙をお送りください。
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