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受賞企業・事業部レポート

株式会社アイスタイル

2014年度 第14回ポーター賞受賞 化粧品情報提供サイト運営・化粧品販売

アイスタイルは、伝統的に大企業有利であった化粧品業界に効率的な市場を創り出すことに成功した。

その結果、中小の化粧品会社、消費者の双方により多くの機会を提供している。

アイスタイルは、@cosme(アットコスメ)というウエブサイト、cosme.com(コスメ・コム)というイーコマース・サイト、@cosme store(アットコスメストア)というリアルの小売店舗を運営している。いずれも化粧品に特化しており、「生活者中心の市場創造」というミッションを有している。売り上げ構成比は、メディア事業が51.5%、イーコマースが8.8%、リアルの小売が29.2%(2013年6月期)。254万人のメンバーを有し(2013年6月末時点)、791万人の月間ユニークユーザーがある(2013年6月末時点)。そのうち309万人は20歳代(日本の20歳代の人口の48.3%に相当)、292万人が30歳代(日本の30歳代の人口の34.5%に相当)。1000のメーカー、25,000ブランドによる220万アイテムの商品について情報を提供し、また、消費者からのクチコミは1,000万件を超える。(2013年6月末時点)
同社は、消費者によるクチコミ情報の中立性と信頼性を維持することに投資を続けており、結果、消費者の意見に基づいて同社が作成する商品ランキングは、高い信頼性を確立した。また、商品情報の信頼性を維持しながらも、化粧品会社から広告を得ることに成功している。同社は、化粧品に特化した小売業を、オンライン、リアルの両方で行っている。自社のプライベート・ブランドは手掛けていない。
化粧品業界は、広告費が豊富な少数の大企業が有利であった歴史がある。また、企業によるセグメンテーションが進んだ結果、消費者にとってはブランドの違いがわからない程になっていた。
アイスタイルにとってもう一つの種類の顧客は、消費者である。消費者は、@cosmeの情報を読み、化粧品についてコメント・評価する。年齢や肌質によって異なるユニークなニーズに基づいて、適した化粧品を検索することができる。同社は、「『真に良い商品』」が選ばれる仕組みを提供する」ことを目指している。
アイスタイルのリアルの小売店では、@cosmeで高くランクされた商品が取り扱われている。顧客は、それらをほぼ全て試すことができ、また、ワンストップショッピングの利便性を享受できる。イーコマース・サイトでは、トレンドセッターに好まれる先端的な商品を取り扱っている。

ユニークな価値提供

アイスタイルは、2正面のプラットフォームであり、2種類の顧客を有する。一つ目は企業顧客であり、アイスタイルから広告を購入する。同社のターゲット顧客は幅広く、非常に小規模な企業から業界リーダーまでを含む(2013年6月末時点で775社)。化粧品業界においては、オンライン広告も、大手企業が広告代理店を経由して展開することが多く、この幅広さはユニークである。
@cosmeで高くランクされた商品は、より多くの小売店で取り扱われ、より有利な棚に置かれる傾向にある。小売業者は、@cosmeで高くランクされた商品にはPOPをつけて宣伝するのが一般的になった。これも、アイスタイルが化粧品会社に提供している重要な価値の一つである。
アイスタイルは、また、化粧品会社に、広告やマーケティング・ソリューションを提供する。@cosmeでの広告は、化粧品に強い関心がある消費者にリーチすることができる。バナー、メール広告、アフィリエイト広告などインターネット・メディアで一般的な広告の他に、アイスタイルは独自の広告ツールを提供している。たとえばブランド・ファン・クラブでは、化粧品メーカーが、一定期間継続してコーナーを使用し、自由にコンテンツを載せることができる。ブランディング型広告は、タイアップ広告のような形式で、アイスタイルが広告内容を提案する。アイスタイルでは、広告を、ウエブサイト、イーコマース、リアル店舗の全てに同時に掲載することができる。マーケティング・ソリューションでは、同社が集めた消費者の声などから独自に構築したデータベースに基づいたサービスを提供している。ブランド・ファン・クラブのコミュニティに参加したり、データの二次利用(@cosme賞のロゴの利用)、リサーチとコンサルティングなども、同社が提供しているマーケティング・ソリューションに含まれる。

独自のバリューチェーン

アイスタイルは、2つのバリューチェーンを持つ。一つは、ウエブサイトのオペレーションに関わるバリューチェーンであり、もう一つは、イーコマースとリアル店舗からなる小売業に関わるバリューチェーンである。これらのバリューチェーンは、消費者中心の市場を想像するという目的によって、相互に関連付けられている。以下では、主にウエブサイトのオペレーションに関わるバリューチェーンについて説明する。

商品情報の提供と、消費者によるクチコミ情報提供を促すコミュニティ形成:
アイスタイルは充実した商品情報を提示し、また、様々なコミュニティ機能を提供することによって、消費者がクチコミを投稿するように促している。消費者によるクチコミや評価はデータベース化され、消費者が化粧品を様々な角度から検索することを可能にしている。また、消費者による評価は、化粧品のランク付けにも利用される。結果として、消費者は自分にあった商品を選ぶことができる。この過程で良い体験をしたことが、消費者が更にコメントを投稿したり評価する動機づけとなる。

消費者から寄せられた情報の品質管理:
アイスタイルは、消費者からの投稿全てをモニターすることで、情報の質を維持している。アイスタイルは消費者から寄せられた情報をモニターする部門と、広告を扱う部門の間で情報がやり取りされないチャイニーズ・ウォールを設け、広告事業が消費者からの投稿に影響しないようにしている。信頼性の高い情報は、消費者がきちんと商品を比較するために不可欠であるためだ。

ウエブサイトとランキングのマーケティング・ツールとしての小売業:
アイスタイルは自社で、イーコマースのサイトと、リアルの小売店舗を運営している。店舗の棚割りは消費者による評価を反映している。ほぼ全ての商品を店舗で試すことができる。小売店舗の成功は、@cosmeのランキングが消費者の購買行動に与えるということの証拠となり、小売店舗の成功を見た多くの小売業者が、消費者の評価を意識した店頭作りを参考とするようになった。

システム開発:
アイスタイルは、社内でウエブサイトのデザイン、サービス開発、消費者行動の分析を行っている。ウエブサイト、イーコマース、リアルの店舗の間で、ベータベースは統合されている。

人的資源管理:
リアルの小売店舗の販売スタッフは、アイスタイルの社員であり、商品知識について教育を受けており、また、取扱商品が@cosmeサイトにおいてどのように評価されているか理解している。また、これらの販売スタッフは、消費者中心の市場を創造する、という同社のミッションに従い、商品の価格やメーカーによって態度を変えないように教育されている。

活動間のフィット

アイスタイルの活動は、消費者中心の市場を創造することを目指して選択されている。コアとなる活動は、化粧品会社やブランドに左右されない、中立的な消費者による評価のデータベースを運営することである。消費者によって寄せられるコメントの信頼性を維持するために、アイスタイルは、充実した監視活動を行っている他、メーカーから運営の公正性に関するステイトメントへの賛同を得、製品情報データベース構築のための情報提供を受けている。また、同社は、広告出稿の有無、大きさによって、メーカーとの関係性を変えることをしない。また、データベースを活用した小売店舗も営んでいる。(本セクション最後の掲載の活動システム・マップを参照下さい。)

戦略を可能にしたイノベーション

  • 化粧品が好きな消費者の間で、少ない人数でも、濃いファンをつくることに専念するというマーケティング・アプローチを開発した。   ウエブサイト上での、これら濃いファンからの発信情報が、カジュアルなユーザーを引き付け、会員数増加に導いた。
  • 消費者のフィードバックが店舗での品揃えに影響し、新しい販売を創造するというエコシステムを創り出した。オンライン企業にとって自然なアプローチは、化粧品についてより良い選択ができるように、消費者にとって寄せられた情報を提供することであろう。しかしながら、同社はそこで留まらなかった。

トレードオフ

  • 美容業界以外には、進出しない。
  • 他社連携を行っても、データベースは全て一元化し、業界デファクト・スタンダードを守る。
  • プライベート・ブランドは開発、発売しない。
  • サービスを値引き販売しない。
  • バナー広告、メール広告、アフィリエイト広告など、コモディティ化したサービスに依存しない。
  • 労働集約的なコンサルティング・サービスを提供しない。個人の能力に依存し、サービスレベルの均一化を図ることが難しい。
  • 消費者のフィードバックによって化粧品業界を変えるというミッションにとって必要であれば、オンライン・サービスに自らの事業ドメインを限定することをしない。多くの場合、リアルの小売店舗の運営は、オンライン・メディア事業よりもROSが低いことが多い。

戦略の一貫性

アイスタイルのミッションは、消費者中心の市場を創造する、ということで一貫している。しかしながら、ウエブサイト、イーコマース、リアルな小売の垂直統合という現在の戦略に、すぐに至ったわけではなかった。2002年11月、アイスタイルは、イーコマースのサービスを開始したが、化粧品会社は、既存の販売チャネルを維持するために、オンライン販売には限られた商品しか提供しないことを知ることとなった。そこで同社は2005年、卸業者や小売業者に、@cosmeで高く評価された商品が幅広く扱われるように、消費者によるクチコミのデータベースに基づいたソリューションサービスを開始した。しかしすぐに同社は、既存の化粧品会社が無料でソリューションサービスを提供している中で、有料で同社からソリューションサービスを購入する流通業者は多くないことを発見した。その結果、アイスタイルは、既存の卸業者、小売業者、化粧品会社に影響を与えるためには、自ら小売店舗を運営しなければならない、という確信に至った。2007年、アイスタイルは、最初の小売店舗を開店し、@cosmeのランキングに従って棚割りをした。この店の大成功は業界の注目を集めることとなり、流通業者や化粧品会社に影響を与え始めることとなった。
創業当初より、アイスタイルは、消費者によるコメントや評価の中立性を維持することを最優先してきた。

収益性

営業利益率は業界平均を上回っている。(業界は、情報提供ウエブサイトとドラッグストアなど化粧品小売業の両方を含む)

アイスタイル収益.jpg

活動システム・マップ

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