受賞企業・事業レポート
ピジョン株式会社 ベビー・ママ用品事業
2016年度 第16回ポーター賞受賞 ベビーケア用品製造販売業
国際的にニーズが均一な0か月から18か月の赤ちゃん用品に特化。母乳育児促進を価値提供に、哺乳びんと乳首などで高いシェアを誇る
業界背景・企業概況
ピジョンは、哺乳器(哺乳びんと哺乳びん用人工乳首、2015 年度の国内市場シェア 75.8%)、哺乳びん洗 剤(同 83.4%)、トレーニングカップ(乳首付きのコップ、哺乳器からコップへの移行時に使われる、73.6%)、 母乳パッド(67.0%)、ベビースキンケア(36.2%)、ベビー用おしりふき(30.1%)などでいずれも国内1位 の市場シェアを持つ、母乳育児を中心としたベビーケア用品のリーダー(カッコ内は、2015年度の国内市場シェア)。赤ちゃんの哺乳活動の研究に基づいた製品開発と、病院での母親への支援活動で、顧客からの信頼を構築。中国、アメリカ(ランシノ・ブランド)、ドイツ(ランシノ・ブランド)でも高い市場シェアを誇る 。
ピジョンが中心に据え、研究開発費や販売促進費を投入する哺乳器は、単価が数百円から高くても 2000 円ほどと、ベビー・ママ用品市場においては、市場規模が小さなセグメントだ。ピジョンの調べによれば、乳 幼児一人当たりの一か月平均育児支出は 2014 年は 18,196 円だったが、哺乳器が含まれる「授乳・離乳 食器関係」の商品カテゴリーに対する支出は月 343 円、全体の 2.4%でしかなかった(※1)。哺乳器の市場規模は日本で推定30億円くらい、アメリカ200億円くらい、中国 800 億円くらいと言われている。ベビー雑 貨においては、搾乳器が、海外では大きな市場。より範囲を広げてベビー用品市場を見れば、ベビーカー やカーシートなどの高単価な商品がある。さらに、哺乳器は、素材が、人工乳頭はシリコンゴム、哺乳瓶は プラスチックと、大きな投資を必要とせず製造でき、製造コストも低いため、参入障壁は低い。
日本における出生数は1973年の200万人をピークとして低下、2014年には約 100 万人となった(前年比2.9万人減)。ピジョングループは 2000 年以降、海外進出を強化、収益性を維持しつつ成長を実現している。
(※1)カテゴリー別で乳幼児一人当たり月平均支出が最も多かったのは、衣類・おむつ等 32.2%、食費関係 (粉ミルク含む)22.7%、外出用品・家具・寝具等 15.4%、授乳・離乳食器・入浴・衛生雑貨等 10.7%、おもちゃ・絵本 9.6%、医療費 9.4%であった(ピジョン社調べ)。
ピジョンが中心に据え、研究開発費や販売促進費を投入する哺乳器は、単価が数百円から高くても 2000 円ほどと、ベビー・ママ用品市場においては、市場規模が小さなセグメントだ。ピジョンの調べによれば、乳 幼児一人当たりの一か月平均育児支出は 2014 年は 18,196 円だったが、哺乳器が含まれる「授乳・離乳 食器関係」の商品カテゴリーに対する支出は月 343 円、全体の 2.4%でしかなかった(※1)。哺乳器の市場規模は日本で推定30億円くらい、アメリカ200億円くらい、中国 800 億円くらいと言われている。ベビー雑 貨においては、搾乳器が、海外では大きな市場。より範囲を広げてベビー用品市場を見れば、ベビーカー やカーシートなどの高単価な商品がある。さらに、哺乳器は、素材が、人工乳頭はシリコンゴム、哺乳瓶は プラスチックと、大きな投資を必要とせず製造でき、製造コストも低いため、参入障壁は低い。
日本における出生数は1973年の200万人をピークとして低下、2014年には約 100 万人となった(前年比2.9万人減)。ピジョングループは 2000 年以降、海外進出を強化、収益性を維持しつつ成長を実現している。
(※1)カテゴリー別で乳幼児一人当たり月平均支出が最も多かったのは、衣類・おむつ等 32.2%、食費関係 (粉ミルク含む)22.7%、外出用品・家具・寝具等 15.4%、授乳・離乳食器・入浴・衛生雑貨等 10.7%、おもちゃ・絵本 9.6%、医療費 9.4%であった(ピジョン社調べ)。
ユニークな価値提供
ピジョンのターゲット顧客は、0か月から18か月の赤ちゃんとそのお母さんだ。この月齢の赤ちゃんは、 の発育の仕組と、特に、口腔内の形状や哺乳の動作など、哺乳に関わる事柄は、人種を問わず世界共通 であり、市場別に製品を大きく変えることなく、他の国の市場への展開ができる可能性を有している。同時に、0か月から18か月は赤ちゃんが急速に発育する時期でもあり、商品によっては、成長段階に応じて細 かくステップアップする商品対応が必要になるものもあり、買い替え需要も期待できる。
ピジョンは、育児の「お困りごと」を見出し、解決することを提供価値とし、哺乳器(哺乳瓶と人口乳首)、 おしゃぶり、トレーニングカップ(マグマグ)などの哺乳関連商品を中心に、赤ちゃんのスキンケア商品、母 乳関連用品、ベビー用おしりふき、ベビー用ヘルスケア商品(つめきりなどの衛生用品)、お母さんのスキンケア商品と、幅広い品揃えをしている。哺乳器は、哺乳瓶と乳首からなり、同社の売り上げの約 30%を占め る主力商品群。
赤ちゃんが哺乳器から飲み始める際に、お母さんのおっぱいと違うと感じて、哺乳器を拒否することがあ る。また、逆に、哺乳器から飲んでいた赤ちゃんが、お母さんのおっぱいを拒否することもある。これを乳頭 混乱と呼び、2 割ほどの赤ちゃんがこの反応を示す。ピジョンの哺乳器、特に乳首は、もっともおっぱいの 機能に近く、あかちゃんが乳頭混乱を起こしにくいという評判がある。特に、赤ちゃんの哺乳運動が、吸着 (ぱくっとくわえる)、吸てつ(舌をうねらせるように動かし母乳を引き出す)、嚥下(呼吸をしながらごっくんと 飲み込む)の 3 つの部分からなることを説明した哺乳三原則の発見とそれに基づいて開発され、2010 年 に発売開始された「母乳実感」は、赤ちゃんの舌のうねらせる動きに合わせて形状を柔軟に変化させるの で、お母さんのおっぱいから飲んでいる感覚に近く、赤ちゃんが乳頭混乱を起こしにくい。授乳や育児に 忙しい中、後で買いなおすかもしれないくらいなら、多少高くてもピジョンの哺乳器を買おう、という母親は 多い。
ピジョンの哺乳器は、他社製品に比べて、小売りの店頭価格で 2 割~5 割ほど高いことが多い。
ピジョンは、育児の「お困りごと」を見出し、解決することを提供価値とし、哺乳器(哺乳瓶と人口乳首)、 おしゃぶり、トレーニングカップ(マグマグ)などの哺乳関連商品を中心に、赤ちゃんのスキンケア商品、母 乳関連用品、ベビー用おしりふき、ベビー用ヘルスケア商品(つめきりなどの衛生用品)、お母さんのスキンケア商品と、幅広い品揃えをしている。哺乳器は、哺乳瓶と乳首からなり、同社の売り上げの約 30%を占め る主力商品群。
赤ちゃんが哺乳器から飲み始める際に、お母さんのおっぱいと違うと感じて、哺乳器を拒否することがあ る。また、逆に、哺乳器から飲んでいた赤ちゃんが、お母さんのおっぱいを拒否することもある。これを乳頭 混乱と呼び、2 割ほどの赤ちゃんがこの反応を示す。ピジョンの哺乳器、特に乳首は、もっともおっぱいの 機能に近く、あかちゃんが乳頭混乱を起こしにくいという評判がある。特に、赤ちゃんの哺乳運動が、吸着 (ぱくっとくわえる)、吸てつ(舌をうねらせるように動かし母乳を引き出す)、嚥下(呼吸をしながらごっくんと 飲み込む)の 3 つの部分からなることを説明した哺乳三原則の発見とそれに基づいて開発され、2010 年 に発売開始された「母乳実感」は、赤ちゃんの舌のうねらせる動きに合わせて形状を柔軟に変化させるの で、お母さんのおっぱいから飲んでいる感覚に近く、赤ちゃんが乳頭混乱を起こしにくい。授乳や育児に 忙しい中、後で買いなおすかもしれないくらいなら、多少高くてもピジョンの哺乳器を買おう、という母親は 多い。
ピジョンの哺乳器は、他社製品に比べて、小売りの店頭価格で 2 割~5 割ほど高いことが多い。
独自のバリューチェーン
ピジョン社ベビー・ママ用品事業のバリューチェーンの特長は、赤ちゃんについての研究活動、病院、産院を中心に認知と信頼を構築するマーケティング活動、EVAを中心とした全般管理にある。
研究開発
ピジョンは、研究に基づいた製品差異化を図っている。哺乳三原則に代表される、赤ちゃんの哺乳運動の解明は、その代表的なもので、哺乳の分野で研究論文を2007 年以降に18 本、そのほかの分野で2007 年以降に34 本出している(赤ちゃんのスキンケア、睡眠、落ち着き、心拍、体温、箸の使い方など)。競合は、哺乳分野では、研究論文はほとんど出していない。
研究開発は、小さく生まれて来て自力ではお母さんのおっぱいで飲めない低出生体重児向けの人工乳首の開発にも向けられている。飲む力が弱い低出生体重児や低月齢の赤ちゃんには、柔らかいけれどつぶれない人工乳首が必要で、素材であるシリコンゴムの、メーカーとの共同開発も行われている。
マーケティング
ピジョンは、哺乳器を病院、産院で使ってもらうことで、認知と信頼を構築する。現在、国内の病院、産院の8 割がピジョン製品を使用。
小売りの店頭では、哺乳器を中心に、哺乳関連商品(洗剤や洗浄ブラシなど)、スキンケア商品、母乳関連商品やおしゃぶりなどでピジョン製品のコーナーを形成し、販売促進につなげている。
出産前の女性を対象とした「おっぱいカレッジ」、妊娠準備期の女性を対象とした「働く女性の妊トレ女子会」などの講習会を年間27 回開催、合計1,600 人の潜在的顧客とのコミュニケーションの場を創造した。また、医療従事者向けセミナーを年間11 回開催し、1,200 名の参加を得た(2015 年)。
人的資源管理
2014年3月、経営理念、社是、使命、基本となる価値観、行動原則、ビジョンを具体的に説明した「Pigeon Way」を設定した。ピジョンの経営理念は「愛」で、それは「人が人を大切にする心」と、ピジョンでは定義されている。その背後には、「愛のこもった製品・サービスを生むのは、愛の心のみ」との考え(社是)があり、1980 年に愛を経営理念に掲げた二代目社長の仲田洋一が次のように説明している。
研究開発
ピジョンは、研究に基づいた製品差異化を図っている。哺乳三原則に代表される、赤ちゃんの哺乳運動の解明は、その代表的なもので、哺乳の分野で研究論文を2007 年以降に18 本、そのほかの分野で2007 年以降に34 本出している(赤ちゃんのスキンケア、睡眠、落ち着き、心拍、体温、箸の使い方など)。競合は、哺乳分野では、研究論文はほとんど出していない。
研究開発は、小さく生まれて来て自力ではお母さんのおっぱいで飲めない低出生体重児向けの人工乳首の開発にも向けられている。飲む力が弱い低出生体重児や低月齢の赤ちゃんには、柔らかいけれどつぶれない人工乳首が必要で、素材であるシリコンゴムの、メーカーとの共同開発も行われている。
マーケティング
ピジョンは、哺乳器を病院、産院で使ってもらうことで、認知と信頼を構築する。現在、国内の病院、産院の8 割がピジョン製品を使用。
小売りの店頭では、哺乳器を中心に、哺乳関連商品(洗剤や洗浄ブラシなど)、スキンケア商品、母乳関連商品やおしゃぶりなどでピジョン製品のコーナーを形成し、販売促進につなげている。
出産前の女性を対象とした「おっぱいカレッジ」、妊娠準備期の女性を対象とした「働く女性の妊トレ女子会」などの講習会を年間27 回開催、合計1,600 人の潜在的顧客とのコミュニケーションの場を創造した。また、医療従事者向けセミナーを年間11 回開催し、1,200 名の参加を得た(2015 年)。
人的資源管理
2014年3月、経営理念、社是、使命、基本となる価値観、行動原則、ビジョンを具体的に説明した「Pigeon Way」を設定した。ピジョンの経営理念は「愛」で、それは「人が人を大切にする心」と、ピジョンでは定義されている。その背後には、「愛のこもった製品・サービスを生むのは、愛の心のみ」との考え(社是)があり、1980 年に愛を経営理念に掲げた二代目社長の仲田洋一が次のように説明している。
「私たちピジョングループは、赤ちゃん、子供、そして、手助けが必要な方々に製品・サービスを提供している企業体です。 その活動の中で、「愛の心」がなければ、決して「愛のこもった製品・サービス」は、生み出せません。」(仲田洋一、1980 年6月23日)。
ピジョンの使命(ミッション)は、「「愛」を製品やサービスの形にして提供することによって、世界中の赤ちゃんとご家族に喜び、幸せ、そして感動をもたらすこと」だ。ビジョンは、「世界中の赤ちゃんとご家族に最も信頼される育児用品メーカー、" Global Number One" 」であり、同社の積極的な研究開発、海外展開、M&A に反映されている。行動原則は、迅速さ、瞳の中にはいつも消費者、強い個人によるグローバルコラボレーション、主体性と論理的な仕事の仕方、積極的な改善・改革志向。
社員は、Pigeon Wayを、実際に仕事にどう生かしたかを半期ごとにレポートとして提出し、人事評価の対象としている。全社員の取組の中から毎年数名の取組を「Pigeon Way Story」として取り上げ、全社員が集まる社員大会で共有したり、ホームページで公表している。
男性社員が赤ちゃんとお母さんの困りごとを理解するため、「ひと月いっしょ」という1ヶ月の育児休暇は男性社員全員が取得する。休暇中の育児体験はレポートとして提出が求められ、評価の対象となる。
ピジョンの売上の半分は海外市場から得ているが、経営の現地化が行われており、日本人の海外駐在員は少ない。
全般管理
ROE(自己資本当期純利益率)、ROIC(投下資本利益率)、CCC(キャッシュコンバージョンサイクル)、PVA(Pigeon Value Added、Economic Value Added・経済的付加価値のピジョン版)を業績管理指 標に設定し、従業員による理解を促進するとともに、事業管理と計画策定に活かしている。特に、2014年から PVA(Pigeon Value Added)を各事業の評価に使用。全従業員が資本コストを上回る収益性という意識を持つことを促している。
社員は、Pigeon Wayを、実際に仕事にどう生かしたかを半期ごとにレポートとして提出し、人事評価の対象としている。全社員の取組の中から毎年数名の取組を「Pigeon Way Story」として取り上げ、全社員が集まる社員大会で共有したり、ホームページで公表している。
男性社員が赤ちゃんとお母さんの困りごとを理解するため、「ひと月いっしょ」という1ヶ月の育児休暇は男性社員全員が取得する。休暇中の育児体験はレポートとして提出が求められ、評価の対象となる。
ピジョンの売上の半分は海外市場から得ているが、経営の現地化が行われており、日本人の海外駐在員は少ない。
全般管理
ROE(自己資本当期純利益率)、ROIC(投下資本利益率)、CCC(キャッシュコンバージョンサイクル)、PVA(Pigeon Value Added、Economic Value Added・経済的付加価値のピジョン版)を業績管理指 標に設定し、従業員による理解を促進するとともに、事業管理と計画策定に活かしている。特に、2014年から PVA(Pigeon Value Added)を各事業の評価に使用。全従業員が資本コストを上回る収益性という意識を持つことを促している。
活動間のフィット
ピジョンの活動は、0か月から18か月の赤ちゃんとお母さんの「お困りごと」を解決する、という価値提供 を実現するため、他社がやらないようなレベルでの研究開発と病院産院へのマーケティング活動がお母さんの間に認知と信頼を生み、小売店頭展開によって幅広い製品ラインを活かす、整合性の良いシステムを形成している。(活動システム・マップを参照ください。)
戦略を可能にしたイノベーション
- 人種に関係なく世界共通のニーズを持つ0か月から18か月の赤ちゃんとお母さんにフォーカス。
- 哺乳三原則の発見。
トレードオフ
- 18か月以上の赤ちゃんをターゲット顧客としない。18か月を超えた赤ちゃんは、自我が芽生え、言葉 を話しだし、自分の好みなどもできて来て、文化、習慣、社会の影響を受け始める。国による違いが拡 大するので、世界共通の製品では満たせないニーズが増大する。
- 粉ミルク市場には参入しない。哺乳器と親和性が高く、市場規模が大きいが、母乳育児支援のスタンスと合致しない。
- ベビー服市場には参入しない。市場規模が大きいが、研究開発による製品差異化という基本方針が 活きないうえ、国によって嗜好が異なる。
戦略の一貫性
ピジョンは、60年前の 1956年、「ベビー用品こそ国の未来を明るくする」という創業者の想いから事業を起こしており、ベビー用品は常に会社の中心にあった。赤ちゃんとお母さんのニーズに真摯に向き合い、 研究開発活動を通じてより優れた商品を提供すること、それを普及させることは一貫している。
病院、産院で自社製の哺乳器を使ってもらうことで、お母さんの間に、ピジョン製品への親しみと信頼を構築し、小売りチャネルでも優位性を築いているが、これは、1959 年に日本赤十字病院からの推薦を取得、 それをてこに、他の病院、産院への拡大に取り組んだことに始まる。現在は病院、産院の8割以上がピジョンの哺乳器を使用している。多くの病院、産院で使われていることで、小売店で良い棚を割り当ててもらうなど、販売促進につなげ、小売市場での地位を確立した。
2002年に進出した中国では、WHOコードによって、病院、産院での哺乳器の普及活動が困難であったため、哺乳器の普及ではなく、母乳育児の普及を目的とし、中国の衛生局と協力しながら、母乳育児のアドバイザーとして病院、産院にアプローチした。中国各省の最も大きな病院には母乳育児相談室を開設 し、相談員を駐在させ、母親への育児相談を提供した。その次のクラスの有力病院へは、ピジョンの母乳育 児アドバイザーが訪問し、看護師への母乳育児指導のセミナーを開催、母親教室の開催への協力などを 実施した。これらの病院では、ピジョンの商品展示や、母乳育児啓蒙ポスターにピジョンのロゴを入れたり、 認知向上のための取組が行われている。中国における小売店チャネルでの販売促進策も日本と共通しており、ピジョンの商品のみを陳列したピジョンコーナーを設置するよう促し、これを中国国内で3,500店に広げることに成功した。
哺乳器を中心とした展開、病院における母親への認知向上と信頼構築は、日中に共通したアプローチだ。今後の成長が期待されるシンガポール、インドネシア、ロシア、インドなどでも、同様のアプローチが基 本となって市場浸透策が検討されている。
2004年、米国に本社を置くランシノ・ラボラトリーズ社を 100%子会社化した。ランシノ社のニップルクリ ームは、「ライフ・セーバー」と評価されており、ランシノ・ブランドが培ってきた機能と品質への信頼を梃に、 ランシノ・ブランドでピジョンの母乳バッド、母乳バッグ、さく乳器を導入、2014 年からは哺乳器の販売を本 格化した。ここでも、母乳育児支援の基本的位置づけが貫かれている。
欧米市場におけるランシノ・ブランドの外側への事業強化を目的として、2010 年以降、2 件の M&A を実 施した。2010年、ランシノ社が、Baby Solution SA 社(スイス)と Baby Solution Italia Srl.社(イタリア)から、 欧州で育児用品を展開するmOmmaブランドの事業を譲り受けた。mOmmaブランドの強みは、哺乳器とドリンキングカップなどだが、特に、デザイン性の高さに特長がある。mOmmaブランドの商品の持つデザイン性に、ピジョンとランシノの機能性の高さを加えることで、機能性の高さは維持しつつ、デザイン性という特 徴を加える事が意図された。2011 年には、欧州を中心に、赤ちゃんの肌に優しいオーガニック・ナチュラル 系スキンケア商品を earth friendly baby ブランドで展開する HealthQuest 社(英国)を買収。earth friendly baby ブランドの商品は、赤ちゃんの肌に優しいという信頼を構築している。
研究開発による製品差異化は、ベビーカー分野でも一貫している。ベビーカーは高額商品でもあり、長く使いたいというニーズがある。この点を考慮した結果、対象月例は1か月から36か月と、18か月を超えているが、ピジョンは、生後1 か月からの赤ちゃんを対象にしたA型ベビーカーに特に注力している。赤ちゃんのニーズを最優先にし、お母さんの使い勝手を中心とした他社製品とは差異化を実現した点は、哺乳 器分野におけるピジョンの戦略と一貫している。2015年に発売した「ランフィー」は、道路の段差にベビー カーがひっかかると、乗っている赤ちゃんには車の急ブレーキの5倍の衝撃がかかることを、東京工業大 学との共同試験で初めて実証し、段差を乗り越えやすいベビーカーを開発した。国内シェアはそれまでの 2%から 12%に伸長し、シェア3位となった。
病院、産院で自社製の哺乳器を使ってもらうことで、お母さんの間に、ピジョン製品への親しみと信頼を構築し、小売りチャネルでも優位性を築いているが、これは、1959 年に日本赤十字病院からの推薦を取得、 それをてこに、他の病院、産院への拡大に取り組んだことに始まる。現在は病院、産院の8割以上がピジョンの哺乳器を使用している。多くの病院、産院で使われていることで、小売店で良い棚を割り当ててもらうなど、販売促進につなげ、小売市場での地位を確立した。
2002年に進出した中国では、WHOコードによって、病院、産院での哺乳器の普及活動が困難であったため、哺乳器の普及ではなく、母乳育児の普及を目的とし、中国の衛生局と協力しながら、母乳育児のアドバイザーとして病院、産院にアプローチした。中国各省の最も大きな病院には母乳育児相談室を開設 し、相談員を駐在させ、母親への育児相談を提供した。その次のクラスの有力病院へは、ピジョンの母乳育 児アドバイザーが訪問し、看護師への母乳育児指導のセミナーを開催、母親教室の開催への協力などを 実施した。これらの病院では、ピジョンの商品展示や、母乳育児啓蒙ポスターにピジョンのロゴを入れたり、 認知向上のための取組が行われている。中国における小売店チャネルでの販売促進策も日本と共通しており、ピジョンの商品のみを陳列したピジョンコーナーを設置するよう促し、これを中国国内で3,500店に広げることに成功した。
哺乳器を中心とした展開、病院における母親への認知向上と信頼構築は、日中に共通したアプローチだ。今後の成長が期待されるシンガポール、インドネシア、ロシア、インドなどでも、同様のアプローチが基 本となって市場浸透策が検討されている。
2004年、米国に本社を置くランシノ・ラボラトリーズ社を 100%子会社化した。ランシノ社のニップルクリ ームは、「ライフ・セーバー」と評価されており、ランシノ・ブランドが培ってきた機能と品質への信頼を梃に、 ランシノ・ブランドでピジョンの母乳バッド、母乳バッグ、さく乳器を導入、2014 年からは哺乳器の販売を本 格化した。ここでも、母乳育児支援の基本的位置づけが貫かれている。
欧米市場におけるランシノ・ブランドの外側への事業強化を目的として、2010 年以降、2 件の M&A を実 施した。2010年、ランシノ社が、Baby Solution SA 社(スイス)と Baby Solution Italia Srl.社(イタリア)から、 欧州で育児用品を展開するmOmmaブランドの事業を譲り受けた。mOmmaブランドの強みは、哺乳器とドリンキングカップなどだが、特に、デザイン性の高さに特長がある。mOmmaブランドの商品の持つデザイン性に、ピジョンとランシノの機能性の高さを加えることで、機能性の高さは維持しつつ、デザイン性という特 徴を加える事が意図された。2011 年には、欧州を中心に、赤ちゃんの肌に優しいオーガニック・ナチュラル 系スキンケア商品を earth friendly baby ブランドで展開する HealthQuest 社(英国)を買収。earth friendly baby ブランドの商品は、赤ちゃんの肌に優しいという信頼を構築している。
研究開発による製品差異化は、ベビーカー分野でも一貫している。ベビーカーは高額商品でもあり、長く使いたいというニーズがある。この点を考慮した結果、対象月例は1か月から36か月と、18か月を超えているが、ピジョンは、生後1 か月からの赤ちゃんを対象にしたA型ベビーカーに特に注力している。赤ちゃんのニーズを最優先にし、お母さんの使い勝手を中心とした他社製品とは差異化を実現した点は、哺乳 器分野におけるピジョンの戦略と一貫している。2015年に発売した「ランフィー」は、道路の段差にベビー カーがひっかかると、乗っている赤ちゃんには車の急ブレーキの5倍の衝撃がかかることを、東京工業大 学との共同試験で初めて実証し、段差を乗り越えやすいベビーカーを開発した。国内シェアはそれまでの 2%から 12%に伸長し、シェア3位となった。
収益性
投下資本利益率、営業利益率ともに業界平均を大幅に上回っている。
活動システム・マップ
受賞企業・事業部 PDF
- 第16回 ポーター賞受賞企業・事業 PDF (当年度の全ての受賞企業が掲載されています)