受賞企業・事業レポート

楽天銀行株式会社

2020年度 第20回ポーター賞受賞 インターネット銀行運営
対面の店舗や自社のATMを持たないインターネット銀行。868万口座(2020年3月末)は国内ネット銀行最大。普通・定期・外貨預金、振込・引落・インスタントメッセージを使った送金、住宅ローン・カードローンなどから、資産管理ツールの提供、など幅広くサービスを提供。 「より便利なサービスをより安価に」を価値提供と掲げ、徹底したデジタル化による低コストを達成し、他社より高い預金金利や低い住宅ローン金利を提供。システム開発を自社で行い、素早く新サービスの開発をする。また、サービス間の移動をスムーズに行なえるなど、顧客体験の質も向上。 楽天市場や証券など、楽天グループサービスと連携し、ポイントプログラムを活用。
※本稿は、受賞企業の応募資料、受賞企業へのインタビュー、公表資料に基づいて、一橋ビジネススクール教授 大薗恵美が執筆した。受賞企業の応諾を得て公開している。

業界背景

2020_Rakuten_photo.png 預金を集めて資金需要がある個人や企業に融資し、信用創造する銀行業は、経済活動の重要な基盤だ。そのインパクトは、2008年の世界金融危機で銀行業界の貸し出しが凍結した際の世界経済への影響の大きさを鑑みれば明白であろう。その重要性から、銀行を開設するには各種審査の後に銀行業の免許を受けなければならず、開業後も、十分な資本の確保や、貸出債権の質の管理に始まるリスク管理など、銀行法によって、また監督官庁によって様々な要請を受ける。

長らく新規参入のなかった銀行業界であったが、2000年に入って、インターネット専業銀行が設立され始めた。たとえば、ジャパンネット銀行は、さくら銀行(現、三井住友銀行)、富士通、日本生命が中心となって設立、普通銀行免許を取得した(現在はZホールディングスの子会社、Zフィナンシャルの連結子会社で、2021年4月にペイペイ銀行に名称変更予定)。

インターネット専業銀行が作られた背景には、インターネットの普及があった。インターネット専業銀行は、預金口座を提供し、インターネットで振り込みなどの指示を受け実行する事ができる。銀行免許を取得しているので、住宅ローンなど、融資サービスも提供が可能だ。既存の銀行のように多くの支店を構えたりATM網を自前で持ったりしないので、コストが低く、より高い預金金利や、より低い手数料や利子で融資を行うことができた。しかし、全てのインターネット専業銀行が全く支店を持たない、ATMを持たない、紙を使わない、というわけではない。顧客ニーズと社内のプロセスによって、オンライン、オフラインから最適な仕組みを設計できる自由度を有していると理解した方が良いだろう。一方で、既存の銀行もインターネット支店を開設し、サービスの利便性を高めたが、既存のサービスと大きな価格差をつける事は難しく、また、自身のコスト構造は伝統的なコストを大きく削減できない事から、価格競争力においては、インターネット専業銀行に対して苦戦している。

ユニークな価値提供

楽天銀行は、対面の店舗や自前のATMを持たず、インターネット上での取引を中心として営業を行っている銀行、いわゆるインターネット銀行。口座数は868万口座(2020年3月末現在)で、インターネット銀行で最大。

楽天銀行のバリュー・プロポジションは、インターネットを活用する顧客に対して、「より便利なサービスをより安価に提供」することだ。「より便利なサービス」とは、銀行サービスとしての利便性の提供だけでなく、楽天グループの各種サービスと銀行サービスを組み合わせることで可能になる利便性を提供することも含む。

楽天銀行が提供しているサービスは、預金(円・外貨)、融資(カードローン、不動産担保ローン、教育ローン、住宅ローン)、振り込み・送金サービス、決済サービス(クレジットカード、デビットカード、プリペイドカード、振替、など)、入出金(提携ATM、郵貯銀行ATM)、資産管理アプリ「マネーサポート」、宝くじ・BIG・toto・公営競技支払いなど、幅広い(*25)。また、投資信託、証券、保険などのグループ内サービスへ、楽天銀行からシームレスに移動することができる。

これらのサービスは、ほぼ全てが1つのスマートフォンアプリで提供されている。つまり、顧客はスマートフォンがあれば、全てのサービスを受けることができ、PCを立ち上げる必要がない。銀行のスマートフォンアプリのなかには、口座開設専用アプリ、残高照会専用アプリといったように、同じ銀行の提供するアプリでも、機能別に複数に分かれていることがあるが、楽天銀行アプリは1つで、アプリ間を移動する必要がなく、快適に利用できる。

また、楽天銀行のアプリは、使いやすい。常に顧客のWeb上のページ遷移、離脱ポイント等をモニタリングし、顧客にとってわかりづらい点、ストレスを感じる点を日々特定し、業務を熟知している行内のシステム開発部隊が素早くシステム改修している。楽天銀行は、自行でシステムの開発、運用、保守を行っており、システムを外注する銀行が多い中、内製化はユニークだ。その背後には、サービスに対する日々の顧客による評価を即時に把握し、改善を行うサイクルを高速で回すことがインターネットビジネスの要諦だとの楽天銀行の考えがある。システムを競争力の源泉と考え、内製化によるシステムの開発スピード、コスト、柔軟性における優位性を背景に、この高速の改善サイクルを銀行サービスに適用し、顧客の求めるサービスを、素早くかつ安価に実現している。

楽天銀行の預金金利、融資利率、サービス手数料体系はいずれも合理的、かつ、顧客に有利なレベルに設定されている。たとえば、住宅ローンの融資事務取扱手数料について、定率の手数料を採用する銀行が多いなか、楽天銀行は固定の一律300,000円(税別)としている(2020年11月現在)。融資金額の2%を事務取扱手数料としている銀行もが多いが、たとえば、5,000万円の住宅ローンを借入れた場合、100万円の手数料支払が必要となる。楽天銀行では30万円となり、顧客が楽天銀行を選ぶ大きな要因になっている。借入金額に関わらず事務にかかるコストは概ね一定のはずであるにもかかわらず、「なぜ、大きな金額の住宅ローンを借りると、大きな金額の事務取扱手数料を払わなければならないのか」という顧客の疑問に耳を傾けた結果、顧客視点に立った合理的なサービス手数料体系を選択したものだ。

また、楽天銀行では、顧客向けリワードプログラムとして、「ハッピープログラム」を提供している。保有する楽天IDと楽天銀行口座を連携することで利用が可能となり、顧客の利用状況(取引件数、資産残高)に応じてステージが決まり、高いステージの顧客ほど大きな楽天ポイントが付与される。ハッピープログラムで獲得したポイントは、楽天銀行での振込手数料に充当することができ、また、楽天グループの他のサービスでも利用可能。加えて、グループ外の多くのネット店舗、リアル店舗においても買い物の支払いに利用できる。数多くあるポイントの中で日本で最も多く使われている楽天ポイントをリワードとして活用していることで、日本の銀行業界で最大規模のリワードプログラムとなっている。顧客にとってのポイントの使い勝手の良さという価値は、他行には真似ができない楽天銀行の強みであり、ハッピープログラムは、楽天銀行のマーケティングの効果を高め、顧客の高いロイヤリティを醸成する重要な要素となっている。

顧客に有利な金利、手数料、充実したリワードプログラムは、楽天銀行のコスト優位によって支えられている。第一に、新規顧客獲得コストが低く抑えられている。楽天銀行の属する楽天グループには、ECサイトである楽天市場があるが、頻度高く楽天市場で買い物をする会員が約3,000万人存在する。また、楽天カードの有する2,000万人超の会員の多くが、毎月楽天カードを利用している。これら楽天グループの強力な顧客基盤を活用して新規顧客を獲得することに、楽天銀行は成功している。また、既存顧客に各種銀行サービス、あるいはグループ内のサービスをクロスセールスする事でも新規顧客獲得の費用が抑えられている。次に、内製化されたシステム開発費用が安くできている。店舗や自行ATMを持つ銀行に対しては、全てオンラインで完結できることによる様々な費用削減が大きな違いとなっている。

楽天銀行は、法人顧客に対しては、インターネット銀行としては珍しく、営業部隊を有し、対面営業を行っている。顧客のオフィス、工場等を訪問し、経営者との面談によって経営課題をヒアリングし、楽天銀行の強みであるIT技術を有効活用してテーラーメイド型のサービスを提供することで個々の企業の経営課題の解決を図る。この際にも業務を熟知したシステム開発者が顧客要望のシステム化を行い、迅速なサービスの提供を可能にしている。

(*25) 楽天銀行ホームページ、https://www.rakuten-bank.co.jp/(最終検索日、2020年11月25日)

独自のバリューチェーン

楽天銀行のバリューチェーンは、低コストで優れた銀行サービスを提供すること、グループシナジーを活かして顧客に多様なサービスをシームレスに提供することのために設計されており、その最大の特徴は、サービス開発、新規顧客獲得、クロスセリング、システム開発、人的資源管理にある。

サービスの開発
楽天銀行は、全ての新サービスと既存サービスの改善を議論する場として、「案件調整部会」を設置している。全社員の参加が可能だ。案件調整部会においては、「新サービス開発、既存サービス改善を必要とする顧客ニーズ」、「新サービス開発、既存サービス改善のためのシステム開発プロセス、コスト」、「それを実現するためのチャレンジ」、「新サービス開発、既存サービス改善のための投資を回収するためのマーケティング活動」などが議論される。全社員が自部署を超えて議論に参加し、顧客ニーズの理解、システム開発に関する知識の吸収、マーケティング・ノウハウの習得の場となっている。

新規顧客獲得
データに基づくインターネット・マーケティングのノウハウを楽天グループが有しており、楽天銀行もそのノウハウを活用している。その結果、楽天銀行が新規見込み顧客に対してグループサービスを通じて効率的にリーチすることができる。そこで、顧客獲得のための広告出稿は、広告効果が高く、低コストでの新規顧客獲得が可能なグループ内での露出を優先。外部広告は、グループ内露出を補完する位置づけでの出稿のみ。広告媒体コストを全体で低くコントロールできるので、新規口座申込顧客に給付するポイント等のリワードを引き上げることができ、より強力な顧客の誘引が可能。

銀行サービスのクロスセリング
楽天銀行は、顧客に対する銀行サービスのクロスセルマーケティングにおいて、自行の有する顧客の属性、サービス利用履歴、サイト上の行動履歴等のデータと、楽天グループの保有する各種顧客データを活用し、顧客の嗜好に応じたセグメント分けを行い、それぞれのセグメントに合わせて訴求する商品、サービスを決定し、顧客を誘引するために最も適切なキャンペーンをセグメント毎に設計、実施する。また、ある商品、サービスについて、現時点では興味を持っていない顧客に対しても、データに基づき同商品、サービスへの潜在的なニーズを見出した場合には、その顧客に対する育成ストーリーを策定し、キャンペーンを活用してその顧客の興味を周辺サービスへ拡大していき、最終的に目的とする商品、サービスをその顧客が利用するように導く。各種キャンペーンには楽天ポイントを活用できる事から多様で魅力的なキャンペーンが可能で、クロスセルマーケティングの効果を高めている。

グループ内他事業への送客・クロスセリング
楽天銀行で獲得した顧客に対しては、顧客の嗜好に合う新たなグループサービスを提案し、銀行からグループサービスへの効率的な送客も実施している。その際に、銀行のデータとグループのデータを活用。また、顧客が持つ楽天銀行への信頼感や、楽天ポイントを活用した多様なキャンペーンが送客において効果を発揮している。

KPI管理
楽天銀行においては、?日次の新規口座申込数、?アクティブ顧客数、?顧客の各種サービス利用状況に基づく1顧客当たりのライフタイムバリュー(Life Time Value、LTV)、?LTVにアクティブ顧客数を乗じた楽天銀行顧客のLTV総和、?顧客の活性化の代表指標としての給与振込口座数、口座振替件数を主要KPIに設定してモニタリングを行い、それを踏まえてマーケティングの改善、戦略の見直し等を行っている。たとえば、新規顧客獲得コストはLTVを勘案してコントロールされる。

システム開発
楽天銀行はシステムを内製化しており、銀行サービスに精通した社員がシステム開発、運用、保守の陣頭指揮をとり、ユーザーインターフェイス(UI)やユーザーエクスペリエンス(UX)をはじめとするサービス改善を的確かつスピード感をもって継続的に行っている。また、システムの内製化によって、新サービス開発においても、顧客ニーズに応えるサービス設計、短時間かつ高品質のサービス開発が可能になっている。

人的資源管理
楽天銀行の人材育成の方針は、柱となる専門性を重視、強化しながらも、他分野のサービスとの統合を可能にするような幅のある知識、経験の醸成を目指すものだ。特に人事異動は、社員の能力開発も展望して行っており、新たな知識、経験習得の機会を提供する。たとえば、楽天グループの各事業との人事交流も行っており、銀行外の知識、経験を有する社員を銀行組織の中に取り込み、銀行社員が多様な視点を獲得できる環境を整えている。社員が銀行サービスという限られた視点にとどまらず、顧客の生活全般を見て銀行サービスをデザインできるようになることが期待されている。

グループとの社員交流は、グループの各サービスにおいて銀行サービスに関する理解を深める役割も果たしており、銀行サービスとグループサービスを組み合わせて新たな利便性を生み出し、リワードの付与により顧客の実質的な銀行サービス利用コストを引き下げ顧客にお得な機会を提供する取り組みに寄与している。

楽天銀行においては、コールセンターではない部署の社員が、トレーニングを受けた後、最低月1回はコールセンター業務に従事し、顧客の生の声を直接聞いている。スピード感をもってサービス改善を継続し、顧客の信頼を得るためには、顧客ニーズとその変化を的確に把握することが第一歩と楽天銀行は考えており、全社員にその機会を提供し、組織としてのサービス改善の質、スピードを上げようとしている。

活動間のフィット

楽天銀行の主なテーマは、「楽天グループの顧客基盤を活用して新規見込み顧客の嗜好に合わせた的確なリーチを効率的に行い、銀行の顧客基盤をスピード感をもって拡大する」とともに、「顧客サービスの継続的な改善、新サービス投入等のサービス拡充をシステム内製化を活かして低コスト、かつ短時間で実現」し、「銀行のデータ、楽天グループのデータを活用して銀行サービスのクロスセル、銀行からグループサービスへの送客を行う」ことにより、「顧客の銀行サービスに対する信頼感の醸成と顧客のグループサービスへの信頼感の向上を並行して推進する」ことであり、「顧客データ分析に基づくクロスセールス」、「シームレスなサービス開発」、「信頼性高く迅速な改善を続けるシステム開発」、が核となる活動で、互いを強めあっている。(本セクション最後に掲載した楽天銀行の活動システム・マップ」を参照ください。)

戦略を可能にしたイノベーション

  • 口座番号などを相手に開示しなくても送金できる「かんたん振込」サービス(メルマネ、Facebookで送金、Viberで送金)。
  • 口座保有者向けに無料で提供する資産管理ツール、「マネーサポート」。
  • 楽天銀行コンビニ支払サービス(アプリで払込票支払)。コンビニ払込票に記してあるバーコードを楽天銀行アプリで読み込むだけで、コンビニに行かずとも楽天銀行口座から直接決済ができ、楽天ポイントも貯まるアプリ専用決済サービス。
  • 楽天デビットカードの業界最高水準のポイント還元。無条件でデビットカード利用代金の1%分を楽天ポイントで還元。
  • 楽天銀行アプリ・ウェブサイト。スマートフォンに登録済みの指紋で認証するだけで、ログインパスワードの入力をせずに「楽天銀行アプリ」へのログインが可能。SNS送金サービス「Viberで送金」では、「楽天銀行アプリ」と「Viberアプリ」とのディープリンクにより、「Viber」のチャットページから「楽天銀行アプリ」の「Viberで送金」ページに直接移動し、スムーズに送金ができる。

トレードオフ

  • インターネットサービスに特化し、原則として紙によるサービスは提供しない。(業界慣行として、現時点、紙によるやり取りを回避できない住宅ローン業務は除く。)
  • 支店等のリアルの拠点は設置せず、対面のサービスは原則として提供しない。住宅ローンでは、人生で一番高い買い物をするという意識も影響して対面でのコンサルティングを求める顧客が相当数いるため、ウエブミーティングを活用して住宅ローン顧客へコンサルティングを実施する。
  • 自行のATMは保有しない。しかし、顧客の現金引き出しニーズはあり、また、いつでも現金の引き出しができるという安心感がキャッシュレスペイメントを拡大するために不可欠なので、自行ATMに代えて、メガバンク、コンビニATM、ゆうちょ銀行、その他ATMオペレーターと連携し、楽天銀行顧客が利用できるATMネットワークを全国に9万台を超える規模で構築した。
  • 運用目的で国債を保有しない。
  • 投資信託の窓販は行わない。投資信託の窓販は多くの銀行において大きな収益源になっているが、顧客の多様なニーズに応えるための幅広い品揃えが不可欠であり、継続的な投信システムへの投資も必要。楽天銀行は顧客を楽天証券に誘導することにより、顧客に投資信託サービスを提供するとともに、株式等の購入機会も提供する。

戦略の一貫性

楽天銀行の前身であるイーバンク銀行は2000年設立、2001年7月に国内で3番目のインターネット銀行として開業したが、2008年8月 に楽天株式会社と資本・業務提携し、2010年に楽天銀行に商号を変更した。楽天はその狙いを、「楽天グループとしての位置付けを明確にし、楽天グループ各社とのシナジー効果を追求することによって、さらに顧客利便性の高い金融サービスの提供を進めるため」としている 。

この狙いの通り、楽天銀行は、約1億人の会員を有する楽天グループの顧客基盤を活用して新規顧客を獲得し、事業の拡大を図ること、グループ内の事業やサービスをクロスセルすること、さらには、グループ内のサービスを組み合わせることによってより良いサービスを創造すること、基本戦略としてきた。この基本戦略は一貫している。

その第一歩は、楽天グループの各社、各サービスの既存顧客のなかに潜在顧客を見出し、グループ各社、各サービスの媒体を活用して、当該顧客に時間やコストを抑えて的確にリーチする事だった。グループの顧客基盤から効率的に獲得した銀行の新規顧客に対しては、サービスの利便性、価格の合理性を訴求し、楽天銀行が提供する様々な商品・サービスのクロスセルを図る。

次に、グループ各社、各サービスと、銀行サービスを組み合わせることによってサービスの魅力を上げ、新規顧客を獲得する戦略を進めた。2011年4月に開始した楽天証券との口座連携サービス「マネーブリッジ」や、2018年7月に参加した「SPU(楽天市場のポイントアッププログラム)」などが成功事例だ。とりわけSPU参加以降は、新規顧客獲得数の伸びが飛躍的に加速した。また、グループの金融各社との銀行代理業務に関する提携も進め、2016年には楽天証券、楽天生命と、2019年には楽天損保、楽天カードと、銀行代理契約を締結し、両社が楽天銀行における「円貨普通預金の受入れを内容とする契約の締結の媒介(口座開設の媒介(勧誘および受付))」 ができるようにし、一層の利便性を高め、顧客の獲得の強化を図った。

一方で、楽天銀行の顧客をグループへ誘導し、その顧客が多くのグループサービスを利用することを通じて楽天グループへのロイヤリティを高めるような施策も実施してきた。2010年7月の楽天証券への金融商品仲介をはじめ、2013年3月の楽天生命保険、2019年4月楽天損害保険との代理店契約はその一例。グループの非金融サービスと連携したグループサービスの利用促進策としては、2016年9月より開始した楽天グループのメッセージングアプリ「Viber」を利用した「Viberで送金」が挙げられる。顧客がより一層楽天グループのサービスを利用し、楽天グループへのロイヤリティが高まることで、楽天銀行へのロイヤリティも高まり、その結果、楽天銀行の商品・サービスの更なるクロスセルが可能となると考えている。

法人顧客については、対面営業による経営者との面談を通じて顧客ニーズを的確に把握し、商品・サービスのカスタマイズも活用してクロスセルを実現している。

(*26) 楽天株式会社、ニュースリリース、「当社子会社(イーバンク銀行株式会社)の商号変更日に関するお知らせ」、2010年1月21日. https://corp.rakuten.co.jp/news/press/2010/0121_01.html(最終検索日、2020年11月25日)
(*27) 楽天損保株式会社ホームページ、 https://www.rakuten-sonpo.co.jp/contact/tabid/1087/Default.aspx(最終検索日、2020年11月25日)

収益性

楽天銀行の投下資本利益率、営業利益率はともに、5年間の業界平均を大きく上回っている。(業界平均との収益性比較は、PwC Japanグループの協力を得ている。)
収益性

楽天銀行の活動システム・マップ

活動システム・マップ

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第24回 ポーター賞 応募期間

2024年5月 7日(火)〜 6月 3日(月)
上記応募期間中に応募用紙をお送りください。
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